【よくわかる!】フォージドアイアンとは?鍛造と鋳造の違いについて
ゴルフショップなどでアイアンを見ていると、「フォージドアイアン」(FORGED)という記載があったりします。
このフォージドアイアンを好んで選ばれるゴルファーの方もいらっしゃいます。
このフォージドとは何なのか?ということなのですが、これは鍛造(たんぞう)のことを指しています。
目次
鍛造(たんぞう)と鋳造(ちゅうぞう)の違いとは?
アイアンの製法には大きくわけると
1)鍛造(たんぞう)
2)鋳造(ちゅうぞう)
・・・があります。
フォージドアイアンのフォージドとは、この1)の鍛造(たんぞう)製法で作られたアイアンのことを指します。
ここで少し、この2つの製法の違いや利点などについて見てみたいと思います。
1)鍛造(たんぞう)とは?
鍛造(たんぞう)とは辞書で調べると、「金属素材を加熱し、ハンマーやプレスでたたき、成形し靭性(じんせい)を与えていく加工法」(デジタル大辞泉)とあります。
鍛造(たんぞう)の鍛は鍛える・・・という意味ですが、金属に力を加えて鍛えて強くして作る・・・そんな意味があります。
もっと簡単に言うと、金属に力を加えて叩きながら、ヘッドの形を作ってゆく・・・そんな製法です。
鍛造(たんぞう)アイアン、つまりフォージドアイアンの良さですが、一般的には打感が良い、やわらかい・・といったことがよく言われます。
また、「軟鉄鍛造」・・と記載されているものもありますが、これは軟鉄(やわらかい鉄)を使って鍛造製法で作られたものを言います。
軟鉄鍛造のアイアンは素材がやわらかいため、曲げてライ角を調整しやすい・・という利点があります。(素材がステンレスでもライ角調整できるアイアンもあります)
ちなみに鍛造(たんぞう)だからといって、素材が全て軟鉄とは限らず、ステンレスを使って鍛造(たんぞう)で作られたアイアンもあります。
その場合もフォージドアイアンと記載されます。
少しまとめると、
鍛造(たんぞう)の利点:
①打感がやわらかく(良く)なりやすい
②購入後にライ角を調整しやすい※
※できないモデルもあるので注意してください
鍛造(たんぞう)のアイアンが向いている人:
①アイアンにやわらかい打感を求める方
②身長が平均よりも低い・高い方※
※②の身長ですが、身長が平均よりも低い方、高い方の場合は、市販されているアイアンのライ角が合わない場合もあります。
その場合は、購入後でもライ角を調節できる鍛造(たんぞう)タイプのアイアンの方がいいかも知れません。
次にもう一つの「鋳造」(ちゅうぞう)について見てみたいと思います。
2)鋳造(ちゅうぞう)とは?
鋳造(ちゅうぞう)とは辞書で調べると、「金属を溶かし、鋳型に流し込んで物をつくること」(デジタル大辞泉)とあります。
溶かした金属を型に流し込んで作る・・そんな製法です。
「ロストワックス」と記載されていることもありますが、これは鋳造製法で作られていることを意味しています。
鋳造(ちゅうぞう)の良さは、型に素材を流し込んで作るため、複雑な形のものを作ることができたり、鍛造(たんぞう)では作れないような硬さのある素材を使うことができたり、複数の素材を組み合わせやすかったり・・といった点が挙げられると思います。
打感に関しては、鋳造(ちゅうぞう)だとどうしても、かたくなってしまいがち・・という印象がありますが、ただ、鋳造(ちゅうぞう)であっても打感がやわらかいモデルもあります。
打感というのは、「フェース面の厚みが強く影響する」・・・クラブの試打&レポートで当サイトでもよくご紹介させていただいているマーク金井さんはそんな風に語っていらっしゃったことがありました。
ですので、鋳造(ちゅうぞう)だから、打感が悪いとは言い切れないかも知れません。ただ、一般的には、鍛造(たんぞう)の方が打感という意味では好まれる傾向があります。
少しまとめると、
鋳造(ちゅうぞう)の利点:
①ヘッドを複雑な形にできる
②複数の素材を組み合わせることができる
鋳造(ちゅうぞう)のアイアンが向いている人:
①やさしいクラブを求めている方
②クラブに操作性や打感よりも打ちやすさを求める方
フォージドアイアンは上級者向けなの?
一般的には、フォージドアイアン(鍛造)は上級者向け、または、難しいクラブ、という印象があるかも知れません。
確かに、フォージドアイアンの中には、中・上級者をターゲットにした製品も多くあります。
ただ、中には、打ちやすく、初心者の方でも使いやすいタイプのフォージドアイアンもあります。
また、先程申し上げた通り、軟鉄鍛造のアイアン(フォージドアイアン)はライ角が調整しやすいという利点もあります。
それは上級者だけでなく、初心者の方にとっても大きな利点だと思います。
ライ角というのは、特にアイアンの場合は、一番重要な要素といっても過言ではない、そんな重要なポイントになります。
どんなにヘッドやシャフトが自分に合っていたとしても、ライ角が合っていないと、打てるボールも打てなくなります。
ライ角がどれだけ影響を与えるかはその人によっても多少違いはありますが、例えば、普段ドローボールを打っている方が(その方にとって)フラットなライ角のアイアンを打ってみたら、全部スライスした・・ということもあります。
ですので、個人的には、特に購入前に十分に試打できないような場合は、ライ角が購入後も調整しやすいフォージドアイアン(鍛造)は、初心者の方であってもおすすめです。
ただし、その場合は、やさしく打てるように設計されたフォージドアイアン(キャビティタイプでソール幅がそんなに狭くないもの)が良いかと思います。
よくわかる!アイアンの選び方。自分に合うアイアンを選ぶ簡単な方法!
いずれにしても、どんなレベルの方であっても、フォージドアイアンを試打してみる価値はあるのではないかなと、思います。
鋳造のやさしいクラブが誰にでもやさしいとは限らない
鋳造(ちゅうぞう)のアイアンの場合は、その製法の利点を生かして、例えば、重量を抑えながら、ヘッドを大きくしてスウィートスポットを広げたり、重心を大胆に下げることで、ボールが上がりやすくしたり・・といったことも可能になってきます。
そういったクラブはやさしいクラブ、飛ぶクラブ・・という風に売り出されることもあるかも知れません。
そして、それは確かに、やさしいクラブ、飛ぶクラブ・・なのですが、それが誰にとってもやさしいクラブかというとそうではないかも知れません。
どんなこともそうかも知れませんが、何か利点があるということはそれによって、欠点も生まれるということだと思います。
例えば、先ほどの例の、重量を抑えながら、ヘッドを大きくしてスウィートスポットを広げたアイアンですが・・
こうすることで、打ちやすい、ミスに強いアイアンになります。そして、それが利点なわけです。
ただ、ヘッドを大きくすることで、操作性はどうしても落ちます。
そうなると、フェースを開いたり、閉じたりしてショットを打つタイプの方には、むしろ、扱いにくいアイアンになってしまうかも知れません。
もう一つの例の、重心を大胆に下げることで、ボールが上がりやすくしたアイアンですが・・
このアイアンをそれなりにヘッドスピードがある方が打つと、ボールが上がりすぎてしまって、ショットが不安定になることがあります。
重心が低いことは、ある方にとっては利点でも、ある方にとっては欠点にもなります。
そんな風にして・・
やさしいクラブというのは、その方によっても定義が変わってきます。
やはり、大事なことはご自分にとって、やさしいクラブは何か?ということになってくると思います。
アイアンの選び方については、よくわかる!アイアンの選び方。自分に合うアイアンを選ぶ簡単な方法!にて詳しくご紹介しておりますので、よかったらそちらも参考になさってください。
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↑僕も実践してみました。その上達法やゴルフ理論の感想について書いてみました。一度ご覧になってみてください。
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