ゴルフのグリップの太さ。太いグリップと細いグリップの違いとは?ドライバー、アイアン、パターのグリップの太さとその効果
ゴルフクラブのグリップにも様々なタイプがあります。
太さにも違いがあって、細いグリップもあれば太いグリップもあります。
ただ、一般的にはグリップの太さを変えることは稀で、多くのゴルファーはあえてグリップの太さを変えたりすることはないと思います。
特に初心者の方であれば、特別なケースを除いて、グリップの太さをあえて変える必要はないかと思います。
中級者以上の方であっても、余程のことがない限り、グリップの太さを変える必要はないのかなとは思うのですが、ただ、グリップの太さを変えることで良い結果につながるケースもあります。
また、例えば、プロの中にも太めのグリップを好んで使う人も中にはいます。
そこで今回は、グリップの太さの基準について、また、グリップの太さがゴルフスイングにどのような影響を与えるのか?ということについてご紹介してゆきたいと思います。
また、今回はドライバーやアイアンのグリップの太さだけではなくて、パターのグリップの太さについても、グリップの太さがパターのストロークに与える影響について見てゆきたいと思います。
目次
- グリップの太さの基準と選び方
- 太いグリップ、細いグリップの特徴
- トッププロでグリップの太さを変えていた事例
- パターのグリップの太さについて
- パターのグリップの太さに関する面白い実験結果
- フィーリング重視かコントロール重視か?
グリップの太さの基準と選び方
まず、グリップの太さの基準ですが、グリップのスペックを見てみると、M62、M60、M58という風に記載されていると思います。
この3つですが、一般的なサイズはM60になります※。
※ただし、シャフトのサイズによっても変わってくることがあります
数字が大きいM62の方が細くて、M58の方が太いグリップだなんて、ちょっとわかりにくいかも知れませんが・・
実はこのM62とか、M60という数値はグリップの内径の大きさを示している数値で、実際はどのサイズも基本的には外径は一緒なのです。
ちなみにM60の「M」はメンズの意味があり、「60」は内径が0.60インチという意味になります。
簡単な図にしてみるとこんな感じです。
外径は一緒なのですが、この上の図の場合、M58の方が内径が小さく肉厚なので、同じシャフトに装着すると、M58の方が太いグリップに仕上がります。
先ほどの図をもう一度見てみます。(※図は肉厚の差がわかりやすいように大袈裟に作ってあります)
これを見ていただいてもわかりますが、内径が小さくなると肉厚になり、シャフトに装着した時には太めのグリップに仕上がることになります。
1つ、注意点なのですが、グリップの一般的、もしくは標準的なサイズはM60ですが、これはシャフトのサイズによっても変わってくることがあります。
下の表はシャフトのサイズに対して、どのグリップを使うと標準的な太さになるか(または太くなるか、細くなるか)というものを示したものです。
(参考:Golf Pride グリップを選ぶ5つのポイント/表は当サイトにて作成)
例えば、シャフトが0.60インチだった場合、M58を装着すると太めのグリップ、M60を装着すると標準的なグリップ、M62を装着すると細めのグリップに仕上がる・・ということになります。
もし迷ったらメーカーやクラブを購入したゴルフショップに問い合わせてみてもいいかも知れません。
または、メーカーによっては、グリップの裏側にサイズ(M60など)の記載がある場合もあるので、ご自分で取り替える方は、グリップの裏側に記載がないかどうか確認していただいてもいいかも知れません。
グリップを太くしたい場合
グリップを太くしたい場合ですが、M58を購入する以外にも、標準的なM60を購入して、下に巻くテープの厚みで調節する方法もあります。
グリップ交換をする際、グリップを取った後にシャフトに両面テープを巻いてゆくのですが、この時、両面テープを多めに巻くことで(もう一回巻くなどして)グリップを太くすることも可能ですし、それも一般的なやり方になります。
また、どのグリップも外径は一緒と先ほど書かせていただきましたが、例外もあって、外径が他のグリップよりも太めのグリップもあります。
太めのグリップが欲しい場合はそういったグリップを選んでみるのも一つの方法だと思います。
太いグリップ、細いグリップの特徴
さて、ここからはグリップの太さがスイングやショットにどのような影響を与えるか?ということについて見てゆきたいと思います。
グリップの太さですが、手首の動きに関係してきます。
太めのグリップは手首の過剰な動きを抑制してくれる効果があり、細いグリップは手首(手首の動き、スナップなど)を使いやすくしてくれる効果があります。
手の大きさは人それぞれですから、その人にとって太い、又は細いといった基準は違ってきますが、一般的には・・
①フックボールを直したい人は太めのグリップ
②スライスを直したい人は細めのグリップ
が良いと言われています。また、
③細いグリップは飛ばし重視の人向き
④太いグリップはコントロール重視の人向き
だと思います。
細めのグリップは手首のスナップを効かせやすかったり、手首を返しやすくなりますので、飛ばしには有利に働くことがあります。
ゴルフ解説者のタケ小山さんは著書(「こうすれば250ヤードは超える!!飛ばしのお約束」 タケ小山 日経プレミアシリーズ)の中で、野球でもホームランバッターとして知られた王貞治さんは細いグリップエンドのバットを使っていたと指摘しています。
また、反対に安定してヒットを打ってゆくような選手は太めのグリップエンドのバットを選ぶと語られています。
ゴルフでも、やはり、細めのグリップは飛ばしには向いているのかも知れませんし、コントロールを重視するタイプのゴルファーには太めのグリップの方がもしかしたら、向いているかも知れません。
ただ、ここまで書いてきて・・ですが、例えば、フックやスライスで悩んでいる時にまず、グリップの太さを変えてしまうことは僕はあまりおすすめしません。
フックやスライスを直すには、まず、グリップの握り方そのものを見直してみることの方が大切だと思っているためです。
また、グリップの太さを変えたからといって、例えば、細めのグリップにしたからといってスライスがドローボールになるような大きな効果があるかといったら、それは恐らく期待できません。
ですので、グリップの太さはあくまでも微調整したい時に検討してみるといいのではないかなと思います。
トッププロでグリップの太さを変えていた事例
ゴルフの帝王と呼ばれたジャック・ニクラウスは現役時代、高さがあり、尚且つ飛距離の出るフェードボールを打つことで知られていました。
僕は幸運にも、ある大会でニクラウスが3番アイアンで打ったショットをすぐそばで見ていました。
そのショットを見て、こんなに綺麗なショットがロングアイアンで打てるのかと・・・驚いた記憶があります。その位、綺麗な放物線を描いて飛んでゆく美しいフェードボールでした。
さて、話が少しそれましたが・・
ニクラウスはフェード打ちだったため、グリップのサイズは若干太めのものを好んで使用していたようです。
ニクラウスの手は身長に対して、比較的小さいのですが、それでも太めのグリップを使用することでフェードボールを打ちやすくしていたのかも知れません。
一般的には、グリップが太ければフェースをインパクトゾーンで返し難くなりますから、フェード打ちのニクラウスにとっては逆球※の心配をせずに思い切って振ってゆけたのかも知れません。
※逆球とは意図したショットと反対のショットのこと。例えば、フェードボールを打とうとして、フックボールを打ってしまうこと
全盛期のニクラウスはパワーヒッターとしても知られていましたが、年齢を重ねて飛距離が落ちたこと、また、腰痛に悩まされるようになったことから、ドローボールを多用するようになっていきます。
ニクラウスはその過程でグリップも少しづつ細いものへと変えていったようです。
パターのグリップの太さについて
ウッドやアイアンなどと違い、パターの場合はあえて太めのグリップにした方が良い場合もあります。
その理由についてはショートゲームのスペシャリストとしても有名なティーチングプロ、デイブ・ペルツ氏もこう語っています:
I do in fact like large putter grips. I have recommended them to many of my students who use their hands too much in putting, because opening their hands tends to relax their grip on the putter, while decreasing their tendency to hinge their wrists during their strokes. I also use a very large oversized grip on my putter myself.
太めのパターグリップは私も好ましいと思っています。
私の生徒の中でもパッティングストローク中に手を使いすぎる方には太めのグリップを勧めています。
太めのグリップを使った場合、手を使いすぎる癖を矯正する効果と共に、パターをグリップした際、両手をリラックスさせる効果もあるからです。そして、私自身もとても太いグリップを使用しています。
Reference: Answering Your Letters,Dave Peltz Golf Magazine
パターのストロークが安定しないという方やそもそもパターに苦手意識がある方は、太めのグリップを試されてみてもいいかも知れません。
パターのグリップの太さに関する面白い実験結果
パターのグリップの太さについては色々な研究もされていて、ちょっと面白い調査結果があるのでご紹介します。
アメリカで行われた実験ですが、上級者のグループと初心者のグループにわけて、それぞれ、普通のグリップの太さのパターと太いグリップのパターを何種類ものパターでカップから1メートル80センチ離れたところからパットを打ってもらいました。
パットはストレートラインです。
その結果ですが、まず上級者のグループからいきます。
上級者の方は、普通のサイズのグリップのパターの方が、太いグリップのパターよりも、カップインする確率が高い・・・という結果になりました。
次に初心者のグループですが、初心者の方はその反対で、太いグリップのパターの方が、普通のグリップのパターよりもカップインする確率が高かったのです。
ゴルファー | カップインする確率が高かったもの |
上級者 | 普通のサイズのグリップ |
初心者 | 太いグリップのパター |
これは勿論個人差もあると思いますが、面白い結果だなぁと思いました。
フィーリング重視かコントロール重視か?
これはウッドやアイアン、そしてパターにも言えることだと思いますが、グリップの太さを決める際はフィーリング重視かコントロール重視かということも大切になってくるかも知れません。
フィーリング重視:普通のサイズかやや細めのグリップ
コントロール重視:普通のサイズかやや太めのグリップ
といったことが言えるかも知れません。
特にパターのグリップに関しては、フィーリングを取り戻したいという方は、細めのグリップを練習で使ってみるのも良い方法かも知れません。
反対にフィーリングを重視し過ぎて、インパクトでのフェースの向きがぶれてしまう(安定しない)ことがある方の場合は、やや太めのグリップを練習で試してみてもいいかも知れません。
また、(パットで)手首の動きが過剰になり過ぎているようなケースでは極太グリップを試してみるのも一つの方法だと思います。
▼スコアが劇的に変わった人が実践したゴルフ理論とは
↑僕も実践してみました。その上達法やゴルフ理論の感想について書いてみました。一度ご覧になってみてください。