ジャック・ニクラウスの名言集。ゴルフの帝王が語った珠玉の言葉
写真:Author:pocketwiley File:JackNicklausAndSon2006MastersPar3
ジャック・ニクラウスは、メジャー通算18勝という圧倒的な強さで「ゴルフの帝王」と呼ばれたアメリカ出身のプロゴルファーです。
今回はそんなジャック・ニクラウスのプロフィールや名言をご紹介したいと思います。
目次
プロフィール
名前:ジャック・ニクラウス(愛称、ゴールデン・ベア)
出身:アメリカ・オハイオ州
生年月日:1940年1月21日生まれ
身長:178cm
プロ入り:1962年
メジャー優勝:18勝
トーナメント | 優勝回数 |
マスターズ | 6回 (1963年、1965年、1966年、1972年、1975年、1986年) |
全米オープン | 4回 (1962年、1967年、1972年、1980年) |
全英オープン | 3回 (1966年、1970年、1978年) |
全米プロ | 5回 (1963年、1971年、1973年、1975年、1980年) |
米ツアー:73勝(2位 58回、3位 36回)
プレイスタイルとニクラウスの強さ:
ニクラウスは全盛期には飛ばし屋として知られていました。
63年の全米プロで行われた公式ドライビングコンテストでは342ヤードを記録して優勝。(記録は20年間破られなかった)
高さがあって正確無比のフェードボール(後にドローボールも打つようになってゆきます)を武器にメジャー大会で18勝、PGAツアーでは73勝を挙げています。
ニクラウスはまた、コース全体のヤーデージブックを取り入れたこと(残りの距離を歩測することもニクラウスがはじめて実践したと言われています)や(打つ前の)ルーティンをはじめたことでも知られています。
ジャック・ニクラウスのすごさ、強さについて、タイガー・ウッズは3つのポイントを挙げています。(タイガー・ウッズがジャック・ニクラウスから学んだこと)
1つはゴルフに対する姿勢。ニクラウスは、優勝がかかった場面でも、予選通過ギリギリでプレーしている時も、ゴルフに対する姿勢が変わらなかったと言います。
2つ目は、入れなければならないパットを入れることができる力。
ニクラウスは「絶対決めなければならないパットを必ず決める」ことが真に強いチャンピオンの証拠だと語っています。
ニクラウスは、その決めなければならないパット、特に4メートルから5メートルのパットが入らなくなったことが65歳で引退した理由の1つだと、後に語っています。
3つ目はニクラウスが非常に長期間に渡って勝ち続けていたということ。
ニクラウスがメジャー大会でトップ10に入った回数は73回です。
「年4回あるメジャー大会全てでトップ10入りをしたとしても18年間もかかる記録だ」とタイガーは付け加えています。
ジャック・ニクラウスの名言集
以下、ジャック・ニクラウスの言葉。一部、和訳(意訳):ゴルフ総合研究所HM(当サイト)
I've always played my best from a slightly open shoulder position.
私が好調の時は、両肩のラインをややオープンにしていた
「私は時々、ボールの右半分を見ることでよりボールを芯でとらえやすくなることを発見した。」
If you set up incorrectly, you'll hit a poor golf shot even if you make the greatest swing in the world.
セットアップ(アドレス)が間違っていたら、いくら世界で一番素晴らしいゴルフスイングをしたとしても、いいショットは打てないだろう。
The average player should lift that left heel. For one thing, it will help you turn your hips level instead of tilting them. For another, you'll make a bigger turn
アマチュアは左足のかかとを上げた方が(ヒールアップした方が)よいと思います。
その理由の1つとして、ヒールアップすることでバックスイングで腰の回転を水平に行いやすくなる、ということが挙げられます。もう1つの理由はバックスイングでより大きなターンをすることができるからです。
Reference: Jack Nicklaus: All I Know, Golfdigest Magazine
ヒールアップについて語った言葉。
I never hit a shot, not even in practice, without having a very sharp, in-focus picture of it in my head.
私は試合でも練習であっても、頭の中でこれから打とうとしているショットのイメージを明確に描いてからボールを打つようにしていた。
I never missed a putt in my mind.
私はイメージの中でパットをミスしたことはない。
The harder I want to hit the ball, the slower I start my takeaway.
飛ばそうと思った時ほど、ゆっくりとしたテークバックを心がけること
The critical alignment factor is the shoulders. Remember that, unless you make a deliberate effort not to, you will instinctively swing the club through the ball parallel to your shoulders, no matter where your feet may be aligned.
アライメント(アドレスの方向性)で大切なのは、両肩の向きだ。スイングの軌道は、両足のラインに関係なく、両肩のラインに強い影響を受ける。
Of all my contemporaries, Lee Trevino has been the hardest to beat.
私と同期のゴルファーの中では、リー・トレビノが一番の強敵だった。
There are plenty of fellows here who hit the ball better than I do. To beat them I have to out-prepare them.
私よりいいショットが打てる選手は大勢いる。だから、彼らに勝つためには、彼らよりも準備をすることだと思った。
ホワイトハウスにて、ジョージ・W・ブッシュ大統領と。
右から、ゲーリー・プレーヤー(現役時代のライバルでもあり、親友)、ジャック・ニクラウス、ティム・フィンチェム(PGAツアーコミッショナー)
* * *
以下は、ジャック・ニクラウスが日本経済新聞の連載「私の履歴書」の中で語った言葉。
「その時、私の中を一瞬の静寂が駆け抜けた。2005年7月15日、英国セントアンドリューズ、18番ホール。思い通りのラインを描いて視界から白いボールが消えた後、少しだけ身体が軽くなったような気がした。これですべて終わった。すべてのプレッシャーからようやく解放されるのだ・・」(出典(以下同じ):私の履歴書 ジャック・ニクラウス 日本経済新聞 06.2~)
プロゴルファーとして最後の大会となった2005年の全英オープンでの最後のショットについて語った言葉。
「私自身はもう潮時だと感じていた。競技生活をこよなく愛し、人一倍、勝つことにこだわってきた。だから、勝てる可能性のないゴルフはしたくはない。」
引退した理由について。
引退した65歳の時点で、ドライバーの飛距離もアイアンの飛距離も全盛期とそれほど変わってはいなかったが、4~5メートルのパットが入らなくなった。それが引退の大きな理由であると語っています。
「あらゆる側面において、ゴルフは人生の縮図のようである。」
「人生で起こる多くのことは予測不能で、障害も多く、時には重大な選択を迫られる。また、人生もゴルフも自分自身との戦いである」と語っています。
「人生には良いこともあれば、悪いこともある。人は私のメジャー18勝を偉業という。だが、それとほぼ同じ数だけ私は2位となり、優勝を逃している。」
「一番好きなのは(好きなコースは)全英オープンの会場となるオールドコース、すなわちセントアンドリューズである。2番目に位置するのはマスターズ選手権の舞台となるジョージア州のオーガスタ・ナショナル。にもかかわらず、「人生の最後にどこでプレーしたいか?」と問われたら、カリフォルニア州の名門コース、ペブルビーチと答えるだろう。」
「ジャック。その時(負けた時)、堂々と勝者を称えることを忘れないように。それこそがスポーツマンであり、スポーツの醍醐味なのだから」
ニクラウスの父、チャーリーがジャックに語った言葉。父親から、ゴルフとは「誠実さ、尊敬の念、人間性、そしてスポーツマン精神を体現する競技」であることを教わったそうです。
「ひとつだけ決めていることがある。それは子供を追い込まないということだ。何かを無理やり詰め込まれた子供が成功するとは思えない。まず、子供が何かに夢中になり、そのための支援を惜しみなく与える。そうすることで子供は成功する」
子育てについて語った言葉。
「ゴルフとは他者やコースではなく、自分自身との戦いである」
はじめてマスターズに出場して(ニクラウスは予選落ちをしています)、コース・マネジメントの重要性を知ったそうで、「ヒーローのようなショットではなく、いかに自制心を保つことが重要かを学んだ」そうです。
「終わっただって?よし、確かめてみようじゃないか」
1986年、46歳での最年長優勝記録を樹立したマスターズの直前、世間のニクラウス限界説に対して、そう思ったそうです。
この勝利がニクラウスにとって最後のメジャー勝利で、46歳でのメジャー制覇は「奇跡の勝利」と言われました。
ニクラウスはこの大会前、子供の頃のコーチでもあった、ジャック・グラウトと再びタッグを組み、スイング改造に取り組んでいます。
当時のニクラウスは強い風が吹くフロリダに移り住んでいて、その風の影響でスイングを(風の影響を受ける前に)早く終わらせようとバックスイングが浅くなったり、ボールを叩きにいくために手や手首を使い過ぎたスイングになっていたそうです。
その問題点を修正してのマスターズ勝利だったそうです。
「肩はどこまで回す、肘はどこを指すなどといったポジションありきのスイングは信用できない。」
良いゴルフコーチの条件として、どのようにすべきか?ではなく、なぜそうなるか?と教えられることを挙げています。
「私は(グレッグ・ノーマンに)こう助言した。「そういう時、少し左手の握りを弱めたらどうだろう?」
グレッグ・ノーマンがここぞという時にショットの精度を落とす癖があることに気づいたニクラウスがノーマンに送ったアドバイス。ノーマンはその後、全英オープンで優勝しています。
「人がその運命に抗う(あらがう)ことなどできはしない。だからといって、諦めてはいけない。運営に逆らうことはできないが、運命をできるだけ上手に操ることは可能だ」
「錆び付いてゆくよりも磨り減っていく方が良い」
引退した後の人生について。引退した後も自分の人生には沢山のホール(時間)が残っていると語った時の言葉。
* * *
最後に僕の個人的なジャック・ニクラウスの記憶について少し・・
それは、1994年頃の話なのですが、トーナメント観戦に行くと、ちょうどその大会にニクラウスが出場していました。(ニクラウスはその時、50代前半)
そして、運がいいことに、そのニクラウスのパー3でのロングアイアンのショットを本当に目の前で見ることができたのです。
ニクラウスが放ったロングアイアンのショットは、本当にロングアイアンなのかと思うほど高さのあるフェードボールで、綺麗な放物線を描いて飛んでゆきました。
それはまるでスローモーションを見ているかのようで、何とも美しい光景でした。
18番を終え、ホールアウトしたニクラウスにはサインを求めるファンが殺到・・僕もしっかりとその中にいました。
一生懸命手を伸ばして差し出したその大会のパンフレット。
ニクラウスは何とそれを一番最初に受け取ってサインをしてくれたのです。
その日は本当に忘れられない一日になりました。
▼スコアが劇的に変わった人が実践したゴルフ理論とは
↑僕も実践してみました。その上達法やゴルフ理論の感想について書いてみました。一度ご覧になってみてください。