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ゴルフ基礎編

プリショット・ルーティンとは?その効果と作り方。どの位の時間で行うのが最適か?

ゴルフではルーティンが大事だと言われることがあります。

ルーティンは、プリショット・ルーティン(preshot routine)とも言われますが、プリショットとはショットの前のという意味、ルーティンとは「決められた動作」という意味です。

つまり、プリショット・ルーティンとは、アドレスに入る時点からショットを打つまでに毎回行う決められた動作のことになります。

今回はそんなプリショット・ルーティンについて、その効果についてや自分なりのルーティンの作り方、そして、どの位、ルーティンに時間をかけるのが最適か?ということについてもご紹介したいと思います。

目次

タイガー・ウッズとルーティン

Source: File:Military Families share golf memories at Tiger Woods tournament 090702 by SecretName101

タイガー・ウッズは自分の父親からプリショット・ルーティンを身につけるように教わり、そのお陰で自身初のジュニア・トーナメント優勝を果たすことができたと、語ったことがありました。

タイガー・ウッズは、いいショットを打てる理由の1つはルーティンだと指摘しています。

そんなプリショット・ルーティンはプロだから必要なのだろうと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、ただ、そうとは限らないかも知れません。

どんなレベルであってもプリショット・ルーティンはショットの精度を上げたり、安定したスイングをするためには、効果があるものだと思います。

タイガーが初優勝したジュニア大会。

彼のスコアは120でした。

彼はPGAツアーでプレーするようになっても当時のプリショット・ルーティンを使っていたのだそうです。

そんなタイガー・ウッズのルーティンですが、非常にシンプルなもので、タイガーは自身の著書、「タイガー・ウッズ 私のゴルフ論」の中で自分のルーティンについての解説をしています。

その方法ですが、

①ボールの後ろに立って、ターゲットに集中する
②アドレスに入って、数回ワッグルをする
③最後にターゲットを見る
④テークバックをスタートする

といったとてもシンプルなものですが、彼はルーティンについて

It doesn't matter what your individual preshot routine is, just as long as you do it the same way every time(~中略~)It helps me remain calm and in the present(出典:How I Play Golf Tiger Woods p.238)

プリショット・ルーティンはどのような形でもいい。ただ、ルーティンは毎回同じであるべきだ。ルーティンを行うことで気持ちを落ち着かせることができるし、今に(目の前のショットに)集中することができるようになる。

そんな風に語っています。

ゴルフ以外のスポーツでも使われている

ルーティンは他のスポーツでも存在します。

大リーグで数々の記録を打ち立てたイチロー選手がバットを立てて右肩に左手をそえるような仕草もルーティンの1つです。

Source: Ichiro Suzuki 2010 Dave Sizer

個人と団体でオリンピック金メダルを獲得した体操の内村航平選手が跳馬の際に腕を伸ばして、狙いを定めるような仕草もルーティンの1つ。

その他にも、サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手のフリーキックの前の動作、陸上で人類最速と言われたウサイン・ボルト選手のレース前の動作・・なんかもルーティンになります。

他のスポーツでも、バスケットボール、バレーボール、ラグビー、フィギュアスケートなどなど・・多くの選手がルーティンを取り入れています。

ルーティンの4つの効果とは?

これだけ多くのスポーツ選手が実践するルーティンですが、そのルーティンにはいくつかの効果があります。

(ゴルフでは)ルーティンには下記のような効果があります。

①同じように構えることができる
②集中力が高まる
③同じようなリズムでスイングできる
④緊張を和らげる

①同じように構えることができる

ルーティンを取り入れると、毎回同じような動作を行いながらアドレスに入ってゆくことになるのですが、そうすることで、毎回同じように構えやすくなるという効果があります。

ゴルフでは、毎回同じように構えることが一番難しいと言われています。

プロであっても、調子がいい時と悪い時の違いが、実はスイングそのものよりも、構え方にあったということが多々あります。

ゴルフの調子が悪い時にできること。ドライバー・アイアンの不調について

②集中力が高まる

毎回同じような動作を行ってからショットを打つようにしてゆくと、その一連の流れが脳にインプットされ、ルーティンを行うことで自然と集中力が高まるようになります。

ルーティンをこなすことで集中しようと思わなくても集中できるようになる・・・これはルーティンの大きな利点の一つだと思います。

③同じようなリズムでスイングできる

同じようなリズムでスイングするというのは、安定してショットを打ってゆくためにはとても大切なことになります。

ルーティンは後程ご紹介しますが、同じようなタイミングで毎回同じ動作を行います。

そうすると、同じタイミングでアドレスに入って、同じタイミングでテークバックをスタートさせることになるのですが、そうすることで、同じようなリズムでスイングしやすくなります。

④緊張を和らげる

ゴルフでは例えば、朝一のショットなど、緊張する場面が多くあります。

そんな時は、緊張が邪魔をして、思うようなショットが打てないことがあると思うのです。

緊張することは誰にでもあることだと思うのですが、緊張し過ぎてしまうと・・思うようなショットが打てなくなります。

緊張し過ぎてしまう一つの理由は、結果のことを考えてしまうことだと思います。

OBを打ったらどうしよう、ボールが曲がったらどうしよう・・・と考えると、緊張はどんどん高まります。

それは、OBを打ったらどうしようと思うことの中に、何か今、実践できることが何も含まれていないから、だと思います。

そんな時は、何か実践できるものを用意して、そして、それを実践することで、余計な緊張から楽になれることがあります。

そんな時にもってこいなのがルーティンだと思います。

自分のルーティンの作り方と4つのポイント

さて、ここまでルーティンについて色々と見てきました。

これだけ多くのスポーツで、多くの選手が取り入れているルーティンですが、ここからは自分なりのルーティンの作り方について見てゆきたいと思います。

自分のルーティンを作る際には下記のようなポイントがあります。

①繰り返しやすいものであること
②同じ動作であること
③同じ時間であること
④やり直す時は最初から

①繰り返しやすいものであること

自分のルーティンを作る際の1つ目のポイントですが、ルーティンは毎回繰り返し行うものです。

そのため、繰り返しやすいものがよいです。

あまり複雑なものだと時間がかかってしまったり、毎回行うのが難しかったりします。

そう考えるとシンプルなものが良いかも知れません。

ルーティンは自分なりのもので構いません。人と一緒ではなくても結構です。

大事なことはルーティンで何を行うかというよりも、同じことを毎回繰り返す点にあります。

②同じ動作であること

ルーティンは毎回同じ動作を繰り返すことが大きなポイントになってきます。

例えば、1)ボールの後ろに立ってターゲットを見る、2)ワッグルを2回行う、3)最後にターゲットを1回見て、Go!

というルーティンだったとします。

この時、例えば、3)の最後にターゲットを1見るというところですが、もう1回ターゲットを見たくなって2回見る・・・というのはダメです。

あくまでもきっちりと同じ動作である必要があります。

2回見たくなった時にどうしたらいいかは少し後でご紹介します。

③同じ時間であること

同じ動作であることが一番のポイントなのですが、それができるようになってきたら、同じ時間であることにもこだわってみてもいいかも知れません。

同じ時間で同じ動作を繰り返すことでリズムが生まれ、それがゴルフスイングのリズムにもつながってゆくことがあります。

ですので、前回は10秒かけたけど、今回は5秒だった・・というのはあまり良くない例で、毎回同じ時間をかけるということが大事なポイントになります。

④やり直す時は最初から

先程の自分のルーティンでは最後にターゲットを1回見るだけ・・・だけど、もう一度ターゲットを見たくなった時はどうしたらいいか?という話の続きですが、

そういう時もあるかも知れません。

あれ、風が吹いてきたな・・・とか、このクラブで本当にいいのだろうか?とか・・アドレスに入ってから打つまでに迷いが生じることもあると思います。

そんな時でも、2回目は見てはダメです。

例えば、もう一度ターゲットを見たくなった時は、最初からやり直します。

これはあくまでも自分のルーティンがターゲットを最後に1回だけ見る・・・というものだったケースのお話で、自分のルーティンがターゲットを2回見る・・・ということであれば、ターゲットは2回見るのが正解になります。

ルーティンにかける時間はどの位が効果的?

さて、ルーティンにかける時間はどの位が効果的なのでしょうか?

あまり長すぎるのは、スロープレーにつながってしまったりしてよくないですし、例えば、1秒とかだと、ルーティンが持っている、一連の所作を行ってゆく中で集中力が高まってゆく・・という効果を得ることができないかも知れません。

じゃあ、どの位がいいのか?ということになりますが、一つの考え方として、素振りを終えてから10秒以内がいいのかも知れないなと、僕は思っています。

ショットを打つ前に素振りをするという方が多いかと思います。

ルーティンは素振りからスタートしてもいいのですが、素振りからショットまでの時間で考えると、10秒以内がよいのかなと。

それにはある理由があります。

その前に素振りについてですが、素振りの方法とその効果についてでも書かせていただきましたが、素振りにはこれから打とうとしているショットの「リハーサル」という意味もあると思います。

素振りをすることで感覚をつかむ・・または、よいイメージを作る。素振りにはそんな意味というか意図もあると思います。

でも、せっかく素振りでいい感覚をつかんだとしても、その感覚が実際にボールを打つ時に消えていては、意味がなかったことになってしまいます。

運動生理学が専門の川合武司先生によると、人間の動作を記憶する役割がある海馬は7秒以上経ってしまうと、他の情報が入ってくることでせっかくつかんだ感覚を忘れてしまうのだそうです。

ということは素振りをしてから7秒経つ前にショットを打つのが、素振りの感覚をショットに生かすためには最適ということになります。

ですので、ルーティンにかける時間も、素振りを終えてから、スイングをスタートさせるまでに6秒が最適なのかも知れません。

ただ、6秒というのはあっという間です・・

そこで少し自分に余裕を持たせるため・・僕は10秒位を目安にしてもいいのかなと、思っています。

勿論、6秒でも構いませんし、スロープレーにつながらない範囲で10秒よりも時間をかけてもいいと思います。

ただ、できれば、数秒・・というのは避けた方がいいかも知れません。

というのもルーティンは、ある特定の動作を行ってゆくことで、集中力が高まったり、またはリズムが生まれてくるので、そのためには、ある程度の時間が必要になってくるかと思います。

だから、1秒とかいうのはNGだと思います。

もっとも、そんなに早く人はアドレスには入れないわけですが。

ただ、ルーティンはどこからスタートでもいいわけで、そういう意味では最後にターゲットを1回見るのがルーティンでもいいわけですが・・それだと、リズムが出てきませんし、集中力もそれほど高まらないかも知れません。

ですので、ルーティンはできれば、最低でもアドレスに入る前からテークバックをスタートさせるところまでが良いかと思います。

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