ドライバー、アイアンの入射角のデータ。プロの入射角はどの位か?
入射角(もしくはアタックアングル)とは、インパクトでヘッドがボールに対してどの程度の角度で入ってきたかということを示す数値(角度)です。
今回ご紹介する入射角のデータですが、数値がプラスの場合は、ヘッドはボールの下から入っていることになります。
「ドライバーはアッパーブローで打て」・・なんて言いますが、アッパーブロー※で打っている場合は入射角はプラスの数値になります。
※アッパーブローとは、ヘッドが最下点を過ぎた後にボールを打つこと。ドライバーの打ち方。アッパーブローで打つべきか?払い打つべきか?参照。
反対に、この入射角の数値がマイナスだった場合、ヘッドはボールの上から入っていることになります。
ですので、ダウンブロー※で打っている場合は、入射角の数値もマイナスになります。
※ダウンブローとは、ヘッドが最下点に達する前にボールを打つこと。ダウンブローとは?ダウンブローの打ち方と3つのコツ。プロがやっている打ち方も参照。
ちなみに、入射角が0の場合は、ボールを真横から払い打つような形で打っているということになります。
今回は、そんな入射角について、プロはどの程度の入射角でドライバー、アイアンを打っているのか?といったことを具体的な数値で見てゆきたいと思います。
また、ドライバーの場合は、男子プロと女子プロでどの程度の差があるのか?ドラコンの選手の場合はどの程度の入射角で打つのか?といったことについてもご紹介してゆきたいと思います。
目次
ドライバーの入射角。男子プロ、女子プロ、ドラコン選手の違い
まず最初にドライバーの入射角ですが、トラックマン社が発表しているアメリカのPGAツアーとLPGAツアーの選手達のデータがありますので、そのデータを見てゆきたいと思います。
また、参考までに入射角のデータ以外にも、打ち出し角やヘッドスピード、飛距離やスピン量なども掲載しておきます。(いずれも、PGAツアー、LPGAツアーの平均値。2017年計測)
男子プロ (PGAツアー) |
女子プロ (LPGAツアー) |
|
入射角 | -1.3度 | +3.0度 |
ヘッドスピード | 50.5 m/s | 42 m/s |
打ち出し角 | 10.9度 | 13.2度 |
スピン量 | 2,686rpm | 2,611rpm |
キャリー | 275ヤード | 218ヤード |
この数値を見ると、ドライバーの入射角はアメリカの男子プロで、-1.3度。女子プロの場合は+3.0度となっています。
この入射角の違いが打ち出し角の違い、スピン量の違いにもなっています。(男子プロの方が打ち出し角が低く、スピン量もやや多い)
男子プロは平均で-1.3度ですから、これは若干ダウンブロー気味※に打っているということになります。
※ダウンブローと言っても-1.3度ですから、ほぼ横から払い打つような形に近いダウンブロー・・ということになります。
一方、女子プロは+3.0度ですから、アッパーブローで打っているということになります。
男子プロはややダウンブロー気味に打っている・・ということですが、これは一般的に言われるドライバーの正しい打ち方ではありません。
ドライバーの打ち方についてはドライバーの打ち方。アッパーブローで打つべきか?払い打つべきか?でもご紹介しましたが、一般的には、ドライバーはアッパーブロー、もしくはレベルブロー(ボールを横から払い打つようにして打つ方法)がいいと言われています。
これは何故かというと、例えば、アッパーブローで打つことで、打ち出し角が高くなり、スピン量も減ります。
飛距離を最大にするには、
- ①ヘッドスピードを上げる(又は、ボール初速を上げる)
- ②打ち出し角を高くする
- ③スピン量を減らす
・・という3つが重要なポイントになってきますが、アッパーブローで打つことで、②打ち出し角を高くするということと、③スピン量を減らす・・ということが可能になります。
実際に女子プロの場合は、上記のデータを見てもわかりますが、そのような打ち方、アッパーブローで打っていて、男子プロに比べて、打ち出し角が高く、スピン量が少ない・・という理想的な打ち方になっています。
男子プロの場合は、若干ダウンブローで打っているため、女子プロに比べて打ち出し角は低く、スピン量も多いです。
これだと男子プロが間違った打ち方をしているようにも感じますが、恐らく、男子プロの場合は、意図的にそのような打ち方をしているのだと思います。
男子プロの場合は、すでに十分な飛距離があって、むしろ、ツアーで生き残ってゆくには、正確性の方が重要になってくることも多く、そのためにあえて、ドライバーもダウンブロー気味に打ってスピン量を増やし、打ち出し角も低めに抑えているのだと思います。
男子プロがもしアッパーブローで打てば(打ち出し角は高くなり、スピン量も減りますから)間違いなく飛距離は伸びると思います。
ただ、その分、ボールをコントロールし難くなり、ミスショットも増える可能性があります。
反対にダウンブローで打つことで打ち出し角は低くなり、スピン量が増えて、飛距離という意味では不利になりますが、その打ち方の方が方向性はよくなる可能性があります。
だから、男子プロの場合はあえて、ダウンブロー気味に打っているのだと思います。
一方、女子プロの場合は、男子プロと違って飛距離が十分とは言えないので、飛距離が出る打ち方(アッパーブロー)をしているのだと思います。
ドラコンの選手の入射角は?
では、ドラコン選手の場合はどうでしょうか?
これについて、ツアープロコーチの井上透さんは自身の著書の中で、ドラコン選手の入射角は+5.0度以上が多いと語っています。
ドラコン選手の場合は、女子プロよりもさらにヘッドを下から入れている、もしくは強めのアッパーブローで打っているということになります。
もし、PGAツアーの選手達がドラコンに出場するとなったら、恐らくダウンブローではなく、アッパーブローで打ってくると思います。その方が飛ぶ可能性が高いからです。
アマチュアはどうしたらいいか?
ここまで男子プロ、女子プロ、ドラコン選手のドライバーの入射角について見てきました。
では、アマチュアはどうしたらいいでしょうか?
アッパーブローで打った方がいいでしょうか?それともダウンブロー、または払い打った方がいいでしょうか?
これについては色々な考え方があると思いますが、1つの考え方として・・
アッパーブローで打った方がいい可能性がある
- コントロールも大事だが、それよりも飛距離が欲しい人
- 中級者以上の人
では、どの位の入射角で打った方がいいか?ということですが、アッパーブローで打つ場合は、まずは女子プロのように3度のアッパーブローを目安にするといいと思います。
それで、アッパーブローで打つことに慣れてきたら、5度程度の強めのアッパーブローも試してみるといいかも知れません。
ただ、アッパーブローで打とうとすればするほど、振り遅れやすくなることがありますので、その点は注意が必要です。
また、ミスする時はスライスが多い人の場合は、アッパーブローで打とうとすると、フェースが開きやすくなる場合がありますので、その場合はボールを横から払い打つ方法の方が合っているかも知れません。
ボールを横から払い打つ打ち方(レベルブロー)がいい可能性がある
- 飛距離だけでなくて、コントロールも重視したい人
- スライスが出ることが多い人
- 振り遅れることが多い人
- 初心者の人
レベルブロー、もしくは、ボールを横から払い打つということですが、この形だと入射角は0度になります。ボールの真横からヘッドを入れてゆくような、そんな意識です。
先ほどもご紹介しましたが、スライスが出ることが多いという人の場合は、横から払い打つ方法の方が合っている可能性が高いです。
また、振り遅れることが多い人や初心者の人の場合も、このボールを真横から払い打つ打ち方(レベルブロー)が合っているかも知れません。
ダウンブローで打った方がいい可能性がある
- 飛距離よりもコントロールが欲しい人
- プッシュアウトのミスを防ぎたい人
- ヘッドスピードがある程度ある人(38~42m/s以上)
ダウンブローで打つといっても、男子プロのデータをご覧いただいてもわかりますが、本当に若干・・・のダウンブローになります。
ヘッドを上から落とすような極端なダウンブローだと、逆効果ですので、あくまでも若干ダウンブロー・・を意識していただくといいかも知れません。
5度を超えてのダウンブローだと、むしろ、飛距離だけでなく、コントロールも失ってしまう可能性がありますので。
(下の図)ダウンブローといっても、上からヘッドを落とすのではなく、ややダウンブローかな・・位の意識がいいかも知れません。
また、プッシュアウトが頻繁に出る人の場合も、アッパーブローではなく、レベルブローか、もしくは若干ダウンブロー気味に打ってみてもいいかと思います。
ドライバーの打ち方やアッパーブロー、ダウンブローで打つということについては下記の記事にて詳しくご紹介していますので、よかったらそちらを参照下さい。
アイアンの入射角。男子プロ、女子プロの場合
今度はアイアンの入射角です。同じくトラックマン社が発表したアメリカのPGAツアーとLPGAツアーの選手達のデータがありますので、そのデータを見てゆきたいと思います。
下記は7番アイアンのデータになります。データは各ツアーの平均値になります。
男子プロ (PGAツアー) |
女子プロ (LPGAツアー) |
|
入射角 | -4.3度 | -2.3度 |
ヘッドスピード | 40.2 m/s | 34 m/s |
打ち出し角 | 16.3度 | 19度 |
スピン量 | 7,097rpm | 6,699rpm |
キャリー | 172ヤード | 141ヤード |
このデータを見ていただくとわかりますが、7番アイアンの場合、男子プロは-4.3度の入射角に対して、女子プロは-2.3度の入射角になっています。
これは男子プロの方が上からヘッドを入れている、もしくは男子プロの方がダウンブローの度合いが強いということを意味しています。
では、女子プロは何故、男子プロのようにもっと強めのダウンブローで打たないのか?
・・ということですが、もし、ヘッドスピードが男子プロよりも遅い女子プロが男子プロのような強めのダウンブローで打った場合、打ち出し角が低くなり過ぎて、ボールが十分に上がらなくなると思います。
反対に、男子プロが女子プロのような入射角で打った場合は、ボールが上がり過ぎてしまって、かえってショットをコントロールし難くなる可能性があります。
アマチュアはどうしたらいいか?
じゃあ、アマチュアはどうしたらいいか?
・・ということですが、男子プロのような強めのダウンブローで打ってしまうと、かえって、飛距離が落ちてしまう可能性もあります。
ですので、アマチュアの男性、女性ゴルファーの場合は、女子プロのように緩やかなダウンブローで打つか、もしくは場合によってはボールを横から払い打つ方法※がおすすめです。
※お使いのクラブやゴルファーのタイプによって、ダウンブローではなく、払い打つ打ち方の方が合っているケースもあります。
アイアンはダウンブローで打つか、払い打った方がいいか?ということについては、アイアンはダウンブローで打つ?それとも横から払い打つ?にて詳しくご紹介していますので、よかったらそちらを参照下さい。
フェアウェイウッド、ユーティリティを含めた全クラブの入射角のデータ
最後に同じくトラックマン社が発表しているアメリカの男子ツアー、女子ツアーのドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ(ショートウッド)、アイアンの入射角のデータをご紹介したいと思います。
※ドライバー、7番アイアンの入射角は先ほどご紹介したデータと一緒です
下記の表は同じく各ツアーの平均値になります。数値は入射角。プラスの数値はヘッドが下から入っていることを意味していて、マイナスの数値はヘッドが上から入っていることを意味しています。
男子プロ (PGAツアー) |
女子プロ (LPGAツアー) |
|
ドライバー | -1.3度 | +3.0度 |
3-Wood | -2.9度 | -0.9度 |
5-Wood | -3.3度 | -1.8度 |
ユーティリティ | -3.5度 | - |
7-Wood | - | -3.0度 |
3-Iron | -3.1度 | - |
4-Iron | -3.4度 | -1.7度 |
5-Iron | -3.7度 | -1.9度 |
6-Iron | -4.1度 | -2.3度 |
7-Iron | -4.3度 | -2.3度 |
8-Iron | -4.5度 | -3.1度 |
9-Iron | -4.7度 | -3.1度 |
PW | -5.0度 | -2.8度 |
このデータを見ると、男子プロはすべてのクラブをダウンブローで打っていて、女子プロの場合は、ドライバーだけがアッパーブローで後は、フェアウェイウッドも含めて、緩やかなダウンブロー(フェアウェイウッドは殆ど横から払い打つような形)で打っているのがわかります。
このデータで参考になるのは、どちらかというと、女子プロの方かなと思います。
男子プロの打ち方はある程度のヘッドスピードがないと、かえって逆効果になってしまうかも知れませんので。
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