すくい打ちの原因と直し方、矯正するための5つの練習方法
すくい打ちとは、ボールを下から上にすくい上げるように打つことを言います。
トップの原因とすくい打ちで書かせていただいた通り、すくい打ちはトップの原因になったり、または、ダフリの原因になることが多いです。
また、すくい打ちは飛距離を失いやすい打ち方でもあります。
今回は、そんなすくい打ちについて、その原因や直し方について、また、すくい打ちを直すための練習方法についてもご紹介したいと思います。
それでは、早速はじめましょう!
目次
すくい打ちの症状
すくい打ちといっても自分がすくい打ちをしているかどうかは、人に指摘してもらわないと、なかなかわからないかも知れません。
ただ、自分で判断する方法としては・・
- ①トップすることが多い
- ②トップを避けようとするとダフることが多い
- ③ボールが高く上がるが飛距離が出ない
- ④スライスや引っ掛けがよく出る
- ⑤ショートアイアンで打ってもターフ(芝生)がとれない
もし、こういったことが当てはまる場合はすくい打ちをしている可能性があります。
①トップすることが多い
②トップを避けようとするとダフることが多い
すくい打ちになっている人の場合は、主にトップすることが多いですが、トップを避けようとすると今度はダフリが多くなってきます。
すくい打ちをしている場合、インパクトがゾーンではなく、点になってしまっていることが多く、安定してナイスショットを打つのが難しくなります。
そのため、前回は調子がよかったのに、今日は調子が悪い・・という風にショットが不安定になりやすいと思います。
③ボールが高く上がるが飛距離が出ない
すくい打ちの場合、ボールが高く上がることはあっても、飛距離が思うように出ないことが多いです。
④スライスや引っ掛けがよく出る
すくい打ちはフェースがインパクトで開きやすいため、スライスの原因になることも多く、スライスを避けようとすると今度は引っ掛けが出やすくなります。
⑤ショートアイアンで打ってもターフ(芝生)がとれない
すくい打ちだと、例えば、ショートアイアンで打っても、ターフ(芝生)が取れないことが多いと思います。
プロのアイアンショットを見ると、ターフを取っていて、打った後はディボット跡ができることがありますが、すくい打ちをしている場合は、ターフがうまく取れません。
フック系のボールとすくい打ち
また、先ほどは記載しませんでしたが、普段からドローボール系のショットを打っている人の中にも、特にショートアイアンやミドルアイアンなどですくい打ちになってしまっている人もいます。
そういった人の場合も、トップやダフリが多く、長いクラブよりもむしろ短いクラブの方が苦手・・というケースも多いです。
ドローボールが持ち球の人や、またはミスする時はフックが出る人の場合、インサイド・アウトの軌道で振っていることが多いのですが、この軌道だと、一つ間違えるとすくい打ちになってしまいやすく、ダウンブローで打つのが難しくなることがあります。
そのため、こういった軌道で振っている人の場合は、長いクラブは上手く打てるのに、短いクラブが打てないということもあります。
すくい打ちの原因と直し方
すくい打ちの一番の原因は、ボールを上げようとしていることです。
もし、ボールを地面から浮かせてはいけないというルールだったら、すくい打ちをする人は殆どいなかったかもしれません。
ただ、ゴルフではボールを地面から浮かせるようにして打つわけで、やはりどうしてもボールをすくい上げたくなります。
また、例えば、野球やテニスなどと違って、ゴルフの場合はボールが自分の目線よりもずっと下にあります。
これもボールをすくい上げたくなる1つの要因だと思うのです。
ただ、ボールが地面の上に置かれた状態で打つわけで、すくい打ちのようにヘッドを下から上に向かって振り上げるような打ち方ではボールにうまく当たらなくなります。
ボールが地面から浮いていればこの打ち方も可能で、ドライバーの場合は、すくい打ちとは少し違いますが、アッパーブローで打つという打ち方もあります。
ただ、それ以外のクラブの場合はアッパーブローでは打ちません。また、特にアイアンの場合はその打ち方ではヘッドの最下点がボールの手前になり、結果的にはトップすることが多くなります。
ですので、ボールを上げようとしてしまうと、ミスが多くなります。
ただ、殆どの場合は、無意識の間にボールを上げようとしていることが多く、それに気づかずにいると、いくら技術的なことですくい打ちを直そうとしても、すくい打ちが直らない・・・ということが起こります。
それ位、頭の中で考えていることというのは、ゴルフでは大きな影響を与えます。
ですので、すくい打ちを直そうと思った時は、どこかでボールを上げようとしていないか、考えてみる必要があると思います。
もし、上げようとしていると思った場合は、ボールは、クラブについているロフト(角)とバックスピンが上げてくれると考えて、あえて低く打ち出そうとしてみるといいかも知れません。
少し後でご紹介しますが、プロの場合はすくい打ちとは反対の打ち方をしていて、クラブヘッドの最下点はボールよりも先にあることが殆どです。
つまり、ヘッドがまだ下降を続けている時にボールをとらえているわけですが、プロのアイアンショットを見ていただくとわかりますが、ボールはかなり高く上がります。
これはクラブについているロフト(角)、それから、バックスピンがボールを高く上げているのです。
ですので、すくい打ちを直したいと思った場合も、ロフトとバックスピンを信じて、あえて、低く打ち出そうとしてみる、もしくは、ボールを横から払い打つような打ち方で打ってみるといいと思います。
それでもボールはしっかりと高く上がりますし、その打ち方の方が圧倒的に飛距離も出ると思います。
これは以前にもご紹介させていただいたことがありますが、プロとアマチュアのアイアンの打ち方には決定的な違いがあります。
この表は、ゴルフスイングの最下点がどこにあるかを示したものです。
ゴルファーのレベル | ゴルフスイングの最下点(アイアン) |
アマチュア | ボールの2~3センチ手前 |
中級者 | ボールの位置 |
シングル | 中級者とプロの中間 |
PGAツアープレーヤー | ボールの先10センチ |
これを見ていただくとわかりますが、アマチュアのスイングの最下点はボールの手前にあるのに対して、プロはボールの10センチ先がスイングの最下点になっています。
これはつまり、アマチュアの場合は、すくい打ちをしていることが多く、プロの場合は先ほども書かせていただいたように、ヘッドがまだ下降を続けている最中にボールをとらえているということになります。
つまり、プロはダウンブローでボールを打っているということになります。
ただ、すくい打ちになってしまっている方の中には、ボールはスイングの最下点で打つものという認識でいる方も案外多くいらっしゃいます。
もっとも、スイングの最下点で打つというプロもいるのですが、そういった人は少数派で、多くの場合は、ボールよりも先が最下点になっていると思います。(アイアンのケース。ドライバーなどは違います)
また、スイングの最下点付近で打つというプロも場合は、すくい打ちではなく、ボールを横から払い打つようなスイングになっています。
そのようにヘッドを緩やかに下降させながら打つ打ち方(ダウンブロー)、もしくは、ボールを横から払い打つ打ち方ですと、インパクトがゾーンになりやすく、ヘッドの軌道が正面から見るとU字のようになります。
すると、多少ヘッドの軌道がぶれてもきちんとボールに当たってくれます。
プロがダフリやトップを滅多に打たないのは、完璧な軌道で打っているからではなく、インパクトがゾーンになっているためだったのです。
一方、すくい打ちの場合は、インパクトが点になってしまっていることが多く、ヘッドの軌道を正面から見るとV字のようになっています。
これだと、ほんのちょっと軌道がぶれただけでトップしたり、ダフリが出やすくなります。
このV字のスイングを直すためにも、ボールを横から払い打つ、もしくは、緩やかなダウンブローで打つということが大切になってきます。
ボールを横から払い打つために
ボールを横から払い打つ際ですが、その言葉の通り、ボールを横から払うように打つ、もしくはボールの横っ面を打つような意識でボールを打ってゆきます。
その際ですが、目線は終始低く保つようにしてみるといいかも知れません。
構える際も目線を高くせず、インパクト後のフォロースルーでも目線を低く保ったまま、フィニッシュまで振るようにします。
この目線を終始低く保つというのは、本番(ラウンド)でも使えるコツかなと思います。
また、それと同時にボールを低く打ち出すことを意識するのも良い方法だと思います。
ボールを高く打ち出そうとすると、すくい打ちになりやすいので、ボールはあえて、低く打ち出そうとしてみます。
緩やかなダウンブローで打つ場合も基本的には一緒です。
ただ、インパクトの後、ボールの先の芝(マット)をシュッと擦ってゆくような意識で打ってみます。
これはボールがない方がわかりやすいかも知れません。素振りでもそのようにボールがあると仮定して、そのスポットよりも先をクラブでシュッと擦るように素振りをしてみます。
すくい打ちを直すための5つの練習方法
最後にすくい打ちを直すための練習方法をいくつかご紹介したいと思います。
1)左に踏み込んで打つ練習
クラブはミドルアイアン(7番、8番など)を使います。最初は素振りからしてみたいと思います。
いつも通り構えて、バックスイングをしますが、この際、左足を地面から完全に浮かせてしまいます。
ちょうど野球の一本足打法のような形ですが、左足はそこまで高く上げなくても結構です。地面から浮いていればそれでOKです。
浮かせた左足は右足の方に寄せてゆくような意識にします。
今度はダウンスイングに入りますが、浮かせた左足をもとの位置に戻す、踏み込むような意識でダウンスイングに入ります。
この練習はプロもやることもありますが、飛距離アップの練習としても効果があると思います。
この素振りに慣れたら、低めにティーアップしたボールを実際に打ってみてもいいかも知れません。その際は6割程度の力でスイングするようにします。
2)打った後に右足を前に踏み出す
同じようにクラブはミドルアイアンを使います。
いつも通りスイングしてボールを打ちます。ただ、インパクトの後は、右足を前に踏み出すようにします。
こんな感じです。
右足に体重が残るとすくい打ちになりやすいのですが、それを防ぐためのよい練習になります。
3)右足の下にタオルを置いて打つ
これは普段からミスをする時はフックボールが多い人、インサイド・アウトの軌道で振っている人におすすめの練習方法です。
インサイド・アウトになり過ぎていると、ヘッドの軌道がすくい打ちのようになってしまうことがあります。
その際は、ダウンブローで打つ練習をするのも効果的です。
ダウンブローの練習方法も色々ありますが、人工的に左足下がりのライを作って、その状態でボールを打ってゆくのもよい練習になります。
左足下がりのライを作る方法ですが、右足の下にハンドタオルのようなものを重ねて置いてみるといいかと思います。
もし機会があれば、下の写真のようなバランスディスクのようなものを使ってみてもいいかも知れません。
こんな風に左足下がりのライを作って、そこから打つ練習をしてみると、すくい打ちが改善してゆくことがあります。
4)弾道の高さを制限する
特にマットの上から打つ場合ですが、マットの場合は、多少手前からヘッドが入ってもクラブのソールが滑って、ボールにちゃんと当たってくれることもあります。
そのため、すくい打ちをしていても気づかないこともあるのですが、この打ち方だとコースに行って芝の上から打とうとした時にミスが多く出たりします。
そうならないための対策ですが、マットの上から打つ場合は、普段の自分の弾道よりも低めの弾道のショットを打とうとしてみるのも良い方法です。
そのためには、先ほどもご紹介したように目線を低く保つ意識で打ってみてもいいですし、インパクトでロフトを立てるような意識でもいいと思います。
左下がアドレス時。右下がロフトを立ててインパクトをむかえている状態。
この方法については練習場のマットの上から打つ時の注意点は?芝の上からとの違いもにてより詳しくご紹介していますので、よかったらそちらを参照ください。
5)高くティーアップしたボールをショートアイアンで低く打つ
ドライバーのように高めにティーアップしたボールをショートアイアンで低く打つ練習も効果的です。
高くティーアップされたボールをショートアイアンでとにかく低く、ライナーのようなボールを打ってゆきます。
ショートアイアンでそういったショットを打とうとするとフックボールが出やすいですが、それで構いません。
高くティーアップされたボールを低く打つ練習をしてゆくと、すくい打ちの意識が薄れてゆくと思いますので、ある程度この練習をしたら、普段通りにボールをマット(芝)の上に置いて打ってみます。
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↑僕も実践してみました。その上達法やゴルフ理論の感想について書いてみました。一度ご覧になってみてください。