ウェッジはグースネックとストレートネック(出っ歯型)のどっちを選んだらいいか?
前回、ウェッジの選び方と4つのポイントでは、ウェッジの重さ、ネックの形状、ソール幅、ロフト角の選び方などについてご紹介しました。
その中でもご紹介しましたが、ウェッジにも2つのタイプがあります。
- 1)グースネック
- 2)ストレートネック(出っ歯型)
今回は、この2つのタイプについて、どちらを選んだらいいか?それぞれどのような特徴や利点・欠点があるのか?ということについて見てゆきたいと思います。
目次
ウェッジの2つのタイプ
冒頭でもご紹介しましたが、ウェッジにも2つのタイプがあります。
- 1)グースネック
- 2)ストレートネック(出っ歯型)
この2つは簡単に言うと、ネックの形の違い、もしくは、リーディングエッジが後ろにあるか、前にあるかの違いなのですが、それぞれどんな特徴があるのか見てみたいと思います。
1)グースネック
グースネックは、リーディングエッジ※が上の写真のように後ろに引っ込んでいるタイプのものを言います。
【グースネックのアイアンとは?】メリット・デメリット、ストレートネックとの違いも
※下の図の赤い部分がリーディングエッジです
ゴルフクラブの設計、開発に長年携わってきた松尾好員さんは自身の著書の中で、「グースネックは、アメリカのコースに比べて、ボールが浮いた状態になることが多い日本のコースでもボールを低く抑えて打てるように考えて設計されたもの」と語っています。
グースネックは、リーディングエッジが後ろに引っ込んでいるわけですが、そうすることでインパクトのタイミングが若干遅れ、自然とハンドファーストの形でインパクトをむかえやすくなります。
このような形で打つことで、ボールの弾道の高さを抑えて打つことができるため、グースネックは、松尾さんがおっしゃるように、ボールが浮きやすい高麗芝のような芝の上から打つのに適していると言われています。
また、後ほどグースネックの利点についても詳しくご紹介しますが、グースネックはボールがつかまりやすく、安定して打てるため、初心者から上級者まで、多くの人にとっては扱いやすいウェッジになります。
どちらが簡単なウェッジかと言ったら、アマチュアゴルファーにとっては、グースネックの方がストレートネックよりは打つのが簡単だと思います。
2)ストレートネック(出っ歯型)
先ほどのグースネックよりもリーディングエッジが前に出ているのがストレートネック、もしくは出っ歯型のウェッジになります。
先ほどもご紹介した松尾好員さんは自身の著書の中で、ストレートネック(出っ歯型)は、「アメリカの湿った粘っこいラフから、いち早くボールを拾って上げられるようにリーディングエッジを前方に出す」(スコアが変わる!クラブ選びの基礎知識 p.110 松尾好員著)という発想から生まれたと語っています。
ストレートネック(出っ歯型)は、リーディングエッジが前に出ているためにボールを拾いやすく、そのため、ボールをフワっと高く上げるのが得意で、ボールが少し沈んでいるようなライからでもボールをしっかりととらえることができるクラブだと思います。
ストレートネック(出っ歯型)の利点についても後ほど詳しくご紹介しますが、ストレートネック、もしくは出っ歯型は、ボールをフワっと上げやすく、また操作性が高いので、ボールを高く上げたい人や、フェースの開閉を使ってショットを打ち分けてゆく人には適していると思います。
1)グースネックの利点と欠点
まずはじめに、グースネックの利点と欠点について見てゆきたいと思います。
グースネックの利点
- つかまりがいい
- スライスを改善してくれる
- 振り遅れを改善してくれる
- ボールを低く抑えて打つことができる
先ほどもご紹介しましたが、グースネックはリーディングエッジがストレートネックよりも後ろに来るように設計されています。
リーディングエッジが後ろに引っ込んでいることで、インパクトでボールに当たるタイミングが一瞬遅れるわけですが、そうすることで、フェースを返す時間ができ、ボールのつかまりが良くなります。
また、グースネックは、振り遅れやシャンクを防止してくれる効果も期待できます。
また、先ほどもご紹介した理由で(自然とハンドファーストのインパクトになりやすいので)ボールの弾道を低く抑えることができます。
基本的に、ボールは低く抑えた方がコントロールしやすいので、グースネックはショットを安定させたい人にもおすすめだと思います。
グースネックのウェッジの利点や特徴について、クラブデザイナーの増田雄二さんは「重心の位置がシャフト軸線よりも後方に大きく離れていて、クラブを振った際に重心が後ろにあることを感じる。そのため、スイング中のフェースの向きを管理しやすい」と指摘されています。(参考:週刊パーゴルフ)
グースネックの欠点
- フェースを開きにくい
- ボールが低く出やすい(フワっとボールを浮かせるのが難しい)
- ボールが沈んだライはやや苦手
グースネックは、フェースが開きにくいという欠点がありますので、例えば、フェースを開いたり、閉じたりして使いたいという人には適していないかも知れません。
また、ボールが低く出やすいというのは利点でもあるのですが、例えば、グリーン周りのアプローチショットなどで、フワっとボールを上げて打つのは、ストレートネックの方が得意です。
それから、ボールがやや沈んでいる状態では、グースネックよりはストレートネックの方が打ちやすいかも知れません。
グースネックはこんな人におすすめ
こういった特徴から、グースネックがおすすめな人は下記のようなタイプの人になります。
- 初心者の人(ウェッジ任せで打ちたい人)
- アイアンやウッドではスライスが出ることが多い
- シャンクが出ることがある
- 振り遅れることがある
- ボールが高く上がり過ぎることが多い
- グースネックのアイアンを使っている
グースネックは扱いやすいクラブなので、初心者から上級者までどなたにもおすすめできますが、特に上記のような人にはグースネックが合っているかも知れません。
グースネックの構え方・打ち方のポイント
グースネックの構え方、打ち方のポイントですが、まず、ボールはスタンス中央かそれよりもボール半個程度右に置くようにします。
スタンス中央でもいいのですが、フェースが後方に引っ込んでいるため、そこからさらにボール半個分程度右に置いてもいいと思います。
また、構えた際もそうですが、インパクトでもハンドファーストになるように意識するといいと思います。
打ち方ですが、ボールを払い打つ打ち方でもいいですが、どちらかというと(クラブの構造上)ややダウンブローで打った方が芯に当たりやすい場合もあります。
その他はショートアイアン・ウェッジの打ち方のコーナーでご紹介した打ち方と一緒です。
2)ストレートネック(出っ歯型)の利点と欠点
次にストレートネック、もしくは出っ歯型のウェッジの利点と欠点についてです。
ストレートネック(出っ歯型)の利点
- ボールを上げやすい
- ボールが沈んでいるライに強い
- 操作性がいい
- フェースの開閉がしやすい
ストレートネックは、グースネックに比べて、リーディングエッジが前に出ているわけですが、リーディングエッジを前に出すことでボールが上がりやすくなります。
ですので、ボールをフワっと上げて止める・・というショットはストレートネック(出っ歯型)の方が得意です。
また、ストレートネックはフェースの開閉がしやすく、操作性がいいという利点があります。そういう意味でも、プロや上級者の中にはストレートネックを好む人も多いです。
先ほどもご紹介したクラブデザイナーの増田雄二さんは、ストレートネックのウェッジの利点・特徴について、「ストレートネックのウェッジは重心の位置がシャフト軸線に近いため、フェースがスクエアでもオープンでも、振った時の感覚の差が少ない。ただし、使いこなすには技術が必要」(参考:習慣パーゴルフ)と指摘しています。
また、先ほども書かせていただきましたが、ボールが沈んでいるようなライにも強いという点も、ストレートネックの特徴、利点になります。
ストレートネック(出っ歯型)の欠点
- ボールが高く上がりやすい(ショットを低く抑えたい人には向かない)
- フェースが開きやすい
ストレートネックはボールをフワっと上げて止めるショットは得意ですが、例えば、ウェッジのフルショットなどではボールが高く上がり過ぎると感じる人もいるかも知れません。
特にボールが芝の上に浮いているようなライだと、ボールが上がり過ぎてしまって、飛距離が思うように出ない場合もあります。
また、ストレートネック(出っ歯型)はリーディングエッジが前に出ているわけですが、そうなるとインパクトのタイミングがグースネックに比べて一瞬早くなり、打ち方によっては、フェースがグースネックに比べて開きやすくなることもあります。
ストレートネック(出っ歯型)はこんな人におすすめ
こういった特徴から、ストレートネック(出っ歯型)がおすすめなのは、こんなタイプの人になります。
- 中・上級者
- クラブ任せではなく、ボールを自分でコントロールしたい
- 普段ミスする時はフックボールが多い
- ショットにある程度高さが欲しい
- グリーン周りの短いアプローチショットでボールをフワっと上げたい
- フェースの開閉を使って打ちたい
ストレートネック(出っ歯型)はある意味、上級者好みのクラブと言えるかも知れません。
初心者の方には少し扱いずらいクラブでも、ウェッジに操作性を求める人や、ショットを打ち分けたい人にはストレートネック(出っ歯型)の方が合っているかも知れませんね。
ストレートネック(出っ歯型)の構え方・打ち方のポイント
ストレートネック(出っ歯型)の構え方、打ち方のポイントですが、ボールはスタンス中央に置きます。(グースネックよりは左に置きます)
構えた際もそうですが、インパクトでもハンドファーストの度合いがグースネックに比べて弱くなります。
打ち方ですが、ボールを横から払い打つ打ち方でもいいですし、ダウンブローで打っても大丈夫です。
ちなみに、日本のクラブメーカー「フォーティーン」の創設者でクラブデザイナーだった竹林隆光さんは自身の著書の中で、ストレートネックはボールのみを払うように打った方がいいと指摘しています。(横から払い打った方がいいという意味)
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さて、ここまでグースネックとストレートネック(出っ歯型)のウェッジの違いやそれぞれの利点・欠点、そして、構え方、打ち方のポイントについて見てきました。
もし、それでもグースネックとストレートネックのどちらにするか迷った場合ですが、グースネックの度合いが弱い(グースネックの)ウェッジを選ぶというのも一つの選択肢かなと思います。
グースネックのウェッジといっても、リーディングエッジがどの程度後ろに引っ込んでいるか・・というのはメーカーやモデルによって違いますので、もし、グースネックもいいけど、ストレートネックも捨てがたい・・・と思った時は、若干グースネックのモデルを選ぶのも1つの方法かも知れません。
今回はウェッジのネック形状について色々とご紹介してきましたが、その他、ウェッジについてはウェッジの選び方やサンドウェッジの選び方、サンドウェッジのソール幅の選び方などもご紹介していますので、よかったら参考になさってください。
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