【ゴルフとイップス】症状、原因と治し方。克服するために必要なこと
こんにちは。ゴルフ総研の森です。
「イップス」とは辞書で調べると、「スポーツ(特にゴルフ)の集中すべき局面において極度に緊張すること。また、そのために震えや硬直を起こすこと。イップス病。」(大辞林 第三版)と出てきます。
ゴルフの場合、パターのイップスはよく知られていますが、ドライバーのイップスやアプローチショットのイップスに悩まされる方も沢山います。
それに比べると、アイアンのイップスは比較的少ないかも知れません。
後ほどご紹介しますが、アイアンのイップスがパターやドライバー、アプローチショットのイップスよりも少ない理由というのが、イップスを克服する鍵になるように思います。
今回は、ゴルフとイップスについて、その症状、原因、そして、治し方について見てゆきたいと思います。
また、治し方のポイントについては、イップスの種類別(ドライバー、アプローチ、パター)にご紹介させていただきたいと思います。
目次
ゴルフのイップスの症状
ゴルフのイップスの症状ですが、2つの症状があります。
1つは、精神的な症状、2つ目は身体的な症状になります。この両方の症状が慢性的にある場合はイップスの可能性が高いかも知れません。
1)精神的な症状
・過度の不安と恐れ
・過度の緊張
・集中力の欠如
2)身体的な症状
・アドレスで動けなくなってしまう
・スイング中、ストローク中に止まってしまう
・過度の力み
・震えや筋肉の硬直
・練習では打たないような大きなミスが出る
・パッティングの場合は、ストローク中に眼球の動きが速くなっているという調査結果も
ゴルフのイップスの原因
ゴルフのイップスの原因ですが、すべてのイップスに共通する原因とドライバーやパター、アプローチショット特有の原因の、2つがあります。
1)すべてのイップスに共通する原因
イップスの原因ですが、イップスになってしまう人は、打つ前の段階から結果に意識がいってしまっていて、それが「ダフるのではないか」「曲がるのではないか」「外してしまうのではないか」といった不安や恐れを生んでいることが多いように思います。
こういった不安や恐れのようなものはただ、多くの人が持っているものだと思います。
ただ、イップスになってしまう人の場合は、過度の不安や恐れを持っていることが多く、それが筋肉の硬直や震えを生み、思うように体が動かなかったり、自分でもびっくりするようなミスにつながったりすることがあります。
何故、過度の不安や恐れがあるか?ということですが、それは打つ前の段階から結果に意識が行ってしまっていることが関係しているように思います。
じゃあ、何故打つ前の段階から結果に意識が行ってしまうかというと、イップスになる人は完璧主義の傾向があって、上手くやらなければならないというある種の完全欲を持っている人が多いようです。
上手くやらなければならないという思いがあると、どうしても結果に意識が向いてしまいます。上手くやる、やらないというのは、結果ですので。
ところが、人は考えても自分ではどうにもできないこと、自分にはコントロールできないことを考えるほど緊張する、不安になる・・・という特徴があります。
だから、イップスの人は過度の不安や恐れがあるのだと思います。
上手くやらなければならないというある種の固定観念があるために、結果に意識が行ってしまい、それが結果的に過度の不安や恐れを生んでいる・・ということだと思います。
これはドライバーやアプローチショット、パターのイップスに共通して言えることだと思います。
2)ドライバーのイップスの場合
ドライバーの場合は、「飛ばさなければならない」という固定観念、思いが原因になっているケースも多いです。
また、ドライバーを特別なクラブとして考えている、ドライバーを特別扱いしていることもドライバーのイップスにつながってしまうこともあります。
3)アプローチのイップスの場合
グリーン周りのアプローチショットのイップスの場合、「寄せなければならない」という思いがイップスの原因になっているケースも多いようです。
4)パターのイップスの場合
パターの場合はショートパットを「入れなければならない」、ロングパットを「寄せなければならない」といった思いが原因になっていることもあります。
プロでもパターのイップスになってしまう人も沢山いますが、まさにこの「入れなければならない」という思いが深く関係しているように思います。
プロの場合は、入れないと生活できない、入れないとやってゆけないレベルでプレーしていることが多いため、比較的イップスになりやすいと言えるかも知れません。
何故、アイアンのイップスは意外と少ないのか?
冒頭でも書かせていただきましたが、アイアンのイップスは、ドライバーやアプローチ、パターに比べると比較的少ないようです。
これは何故かというと、「~しなければならない」という思いを持たなくて済むことが多いクラブだから、かも知れません。
ドライバーは一番飛ぶクラブなので、「飛ばさなくてはならない」と思いやすく、アプローチは「寄せないといけない」、パットは「入れなければならない」という思いを持ってしまいやすいと思います。
もっとも、アイアンもグリーンに乗せないといけない・・となるかも知れませんが、ツアープロであってもパーオン率というのは60%~70%程度。
アマチュアの場合はシングルプレーヤーでも50%程度という調査結果もありますが、アイアンはグリーンに乗らないことが多いので、どうしても「乗せなければならない」とは思わずに済むのかも知れません。
いずれにしても、イップスを克服するためには、この「~しなくてはいけない」という思いを少し捨てるということが鍵になってくるように思います。
ゴルフのイップスの治し方
さて、ここからはイップスの治し方について見てゆきたいと思います。
1)すべてのイップスに共通すること
先ほど原因のところで書かせていただきましたが、イップスを治すためには、結果を先に考えて過度の不安や恐れを感じてしまうことを何とかする必要があるように思います。
そのためにどうしたらいいか?
ということですが、そのためには、結果ではなく、過程に意識を向ける必要があるように思います。
もっと言うと、コントロールできないことではなく、コントロールできることに気持ちを向けるということになります。
そのためには、考えても実践できないことを考えるのではなく、今、この瞬間に実践できることを考えるようにします。
例えば、ドライバーの場合、「曲げてはいけない」と考えることはどうでしょうか?
これは結果を考えていることになります。また、「曲げてはいけない」と思うことの中に今、実践できることが何一つ含まれていません。
だから、これはNGということになります。
ではどうしたらいいかというと、例えば「テークバックをゆっくり」と考えるのはOKです。
これなら、実践できそうです。
または、「6割の力で振ろう」でもいいです。これも実践できそうです。
こうやって、今、自分に実践できることを考えるというのが、イップスを克服するためには大切になってくると思います。
2)ドライバーの場合
ドライバーの場合は、「飛ばさなければならない」という固定観念を捨てる必要があるように思います。もし、そういった思いが自分の中にある場合は。
もっというと、ドライバーのイップスの場合は、飛距離に関する執着を捨てられるかどうかが大きく関係してくると思います。
日本人として初となる世界ランキングナンバーワン(女子)に輝いた宮里藍さんは、ドライバーのイップスになったことで知られていますが、宮里さんは飛ばさないように意識したことで、イップスを克服したそうです。
また、ドライバーの場合は、ストレートショットではなく、あえて、曲がるボール、ドローボール、フェードボールの練習を繰り返すことでイップスを克服した人もいます。
ドローボールやフェードボールは、ミスしてもいい許容範囲の広いショットだと思います。
ちょっと曲げ過ぎてもいいわけです。それもドローボール、フェードボールですから。
一方、ストレートショットはそうはいきません。ちょっとでも曲がればストレートではなくなり、ミスショットになってしまいます。
ミスする可能性の高さは、緊張感の高さに直結してきます。
ですので、ストレートショットではなく、ドローボールやフェードボールの練習をすること、また、そういった曲がるショットを持ち球にすることも、ドライバーのイップスを克服する上では大切なポイントになるかも知れません。
ドライバーのイップスについては、ドライバーのイップスの症状、原因と治し方。3つの対処方法もにてより詳しくご紹介していますので、よかったらそちらも参照下さい。
※この記事でご紹介するページへのリンクは、このページ下部の関連記事の覧にまとめておきます
3)アプローチのイップスの場合
アプローチショットのイップスを克服するためには、「寄せなくていい」「上手く打てない時があってもいい」と思えるかどうかがポイントになると思います。
これは言い換えると、目標を下げるということになります。
目標の高さ=緊張の大きさになります。
だから、初心者の人よりも、すでにある程度の技術を持っている人の方がイップスになりやすいのだと思います。
イップスになる人は、目標が高いのかも知れません。
そんな時は、思い切ってアプローチショットは寄せなくてもいいと思ってみるのも一つの方法だと思います。
また、これはスコアとコースマネジメントのコーナーで繰り返しお伝えしてきたことですが、たとえ70台というレベルでプレーすることを前提にしても、アプローチショットは実際に寄せる必要はありません。
アプローチショットを寄せなくても70台でまわれます。この理由については、スコアとコースマネジメントのコーナーにてご紹介していますので、よかったらそちらを参照下さい。
ただ、いずれにしても、アプローチショットは寄せなくても大丈夫です。
もし、コースで過度に緊張してきたら、「寄せなくていい」と自分に言い聞かせてみてください。
また、アプローチショットのイップスの場合は、グリップを右手がシャフトにかからない程度まで思い切って短く持ってみるのも効果的な方法だと思います。
そこまで短く持つことでクラブをよりコントロールしやすくなります。
また、アプローチのイップスで苦しむ方は、ダウンスイングでヘッドが減速していることがあります。
ですが、ヘッドは加速させた方がヘッドの軌道は安定します。
ですので、この場合は、バックスイングを小さくして、フォロースルーを大きくすることでヘッドを加速させて打つようにしてみてもいいかも知れません。
アプローチショットのイップスについては、アプローチショットのイップス。症状、原因と治し方にてより詳しくご紹介していますので、よかったらそちらを参照下さい。
4)パターのイップスの場合
パターの場合も、イップスにつながっている思い、固定観念のようなものを見つけることが重要になってくると思います。
「入れなくてはいけない」「寄せなくてはいけない」という思いがあると、緊張が高まります。
それは、先ほどもお伝えしたように、結果を考えてしまっているからだと思います。
ですので、結果ではなくて、過程の部分に意識を向けることが大切だと思います。
ショートパットであれば、入れることを目標にすることを少しやめてみて、思った方向に打ち出すことを目標にしてみるのもよい方法だと思います。
入るかどうかは、自分ではコントロールできない要素が絡んでくることがあります。
完璧なラインに打ち出しても、グリーンの見えない凹凸でボールの方向が変わってしまうこともあります。
ただ、思った方向に打ち出すことであれば、自分でコントロールできるかも知れません。
自分にコントロールできることを考えるほど、集中力は高まります。また、気持ちも不思議と落ち着いてゆきますので、パターを打つ際に過度に緊張した場合は、今できること、今、この場で実践できることに意識を向けてみてください。
また、ロングパットの場合は、目標を下げるということが効果的だと思います。
「寄せなければならない」という思いがあると、緊張が高まりますが、最悪寄らなくてもいいと気持ちを楽にして(目標を下げて)打つことで、少なくとも体は余計な緊張をせずに済みます。
その方が結果的には、カップに寄るチャンスが広がるのではないかなと、思います。
パターのイップスの場合はまた、あえて、パットをわざと外す練習をするのもとても効果的な方法だと思います。
これについては、パターのイップスを克服する方法と6つのポイントにて詳しくご紹介していますので、よかったらそちらを参照下さい。
僕自身、イップスに苦しんだ経験があります
さて、ここまでゴルフとイップスについてご紹介してきました。
最後に、実は僕自身、ドライバーとパターのイップスに長年苦しんだ経験があります。
ドライバーはイップスのためにコースでは殆ど使えなくなり、パターは、アドレスで固まってしまって打てない・・ということが頻繁にありました。
当時の僕は、アメリカの地方のツアーでプレーすることを目標にしていました。そして、そこでプレーするためには「飛ばさなくてはならない」「パットを入れなければならない」という思いがあったのかも知れません。
そういう自分の中にあった固定観念のようなものに気づいて、そして、それを捨てようと思ったことがイップスを克服するきっかけになりました。
イップスというのは、本当に辛いものだと思います。そして、人にはなかなか理解してもらえないこともまた、辛いものです。
ただ、イップスというのは、原因のない病ではないと思いますし、不治の病でもないと思います。
必ず抜け出す道があると思います。
▼スコアが劇的に変わった人が実践したゴルフ理論とは
↑僕も実践してみました。その上達法やゴルフ理論の感想について書いてみました。一度ご覧になってみてください。