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ショートゲーム編

アプローチショットのイップス。症状、原因と治し方。克服するために必要なことは何か?

こんにちは。ゴルフ総研の森です。

イップスとは、過度の緊張から震えや硬直を起こし、思うようなプレーができなくなることを言います。

イップスというと、パターのイップスを思い浮かべる方もいらっしゃるかも知れませんが、グリーン周りのアプローチショットやドライバーのイップスもあります。

今回は、グリーン周りのアプローチショットのイップスの症状、原因、そして治し方についてご紹介してゆきたいと思います。

目次

アプローチのイップスの症状

アプローチのイップスの症状は下記のようなものになります。


・アドレスでかたまってしまって、打つまでに時間がかかる
・スイング(バックスイング、切り返し、ダウンスイング)の途中で止まってしまう
・アドレス時やスイング中に手や体が震える
・練習では打たないようなミスショットが本番になると出る

上記はすべて、身体的な症状になりますが、イップスの場合は、身体的な症状に精神的な症状が加わります。

精神的な症状としては:


・アプローチショットへの不安がある
・大きなミスをしてしまうのではないかという恐れがある
・アプローチショットを打つ際に過度に緊張する

といった点が挙げられます。

アプローチのイップスの原因

イップスの原因は、不安や恐れが大きく関係していて、アプローチの場合も同じようなことが言えると思います。

アプローチのイップスになってしまう人は、打つ前の段階から結果に意識がいってしまっていて、それが「トップするのではないか」、「ダフってしまうのではないか」といった不安や恐れを生んでいることが多いように思います。

もっとも、不安や恐れのようなものは誰にでもあるものだと思います。

ただ、アプローチのイップスになっている人の場合は、過度の不安や恐れがある場合が多く、それが筋肉の緊張や硬直を生み、思うように体が動かない、練習ではしたこともないようなミスが出る・・といった状態、症状につながってしまいます。

では、何故、過度の不安や恐れがあるかというと、それは先ほど書かせていただいたように、打つ前の段階で結果に意識がいってしまっているから・・・だと思います。

じゃあ、何故、打つ前に結果に意識が行ってしまうのかというと、そこには、何かしらの思い、例えば、「寄せなければならない」とか、「上手く打たなければならない」「ミスしてはいけない」といったある種の完全欲のようなものが隠れていることがあります。

イップスになってしまう人は完璧主義の傾向があると以前にも書かせていただいたのですが、上手く打たなければならない、寄せなければならない・・・といった思いが強い不安を生んで、それがイップスを引き起こしているケースが多いと思います。

アプローチのイップスの治し方

さて、ここからはアプローチのイップスの治し方について見てゆきたいと思います。

治すためのポイントですが、6つあります。

1)寄せなくていい。上手く打てなくてもいい

先ほど、イップスの人は完璧主義の傾向があると書かせていただきましたが、イップスを克服するためには、その完璧主義から来る完全欲のようなものを少し捨てる必要があるかも知れません。

「寄せなければならない」「上手く打たなければいけない」「ミスをしてはいけない」といった思いがあると、それが過度の不安や緊張を生んでしまうためです。

そんな時は、思い切って「寄せなくていい」「上手く打てなくていい」と少しでも思えるようになると、過度の不安や緊張も手放せるようになります

もっとも、完璧主義の人だった場合、そんな風に思うことは難しいことかも知れません。

ただ、少しでも、そのように思ってみると、気持ちはぐっと楽になれますし、気持ちが楽になると、身体的な症状も同時に出なくなってくると思います。

そして、実際にアプローチショットは寄せなくてもいいと思うのです。

その具体的な理由については後述しますが、ただ、いずれにしても、「寄せなくていい」と思うことは、目標を下げるということになると思います。

目標の高さ=緊張の大きさなので、だから、目標を下げるということは、緊張を和らげることにもつながってゆきます。

初心者の方はアプローチのイップスになることは少ないと思いますが、それは目標がそもそも低いから、期待値が低いから・・・かも知れません。

初心者の方であれば、アプローチショットが寄ることは少ないと思いますし、ご本人も寄せようなんて目標を持っていることは少ないと思います。

目標が最初から低いので、過度に緊張したりはしないのだと思います。

一方、中級者や上級者になると、寄せる技術を持っている方が多いですから、どうしても寄せたい、寄せようという思いが生まれてくることがあります。

それが目標の高さになり、そこに完全欲のようなものが加わると、それが過度の緊張を生み、その繰り返しが過度の不安や恐れにつながってゆくのだと思います。

ですので、そこから抜け出すためには、目標をガクンと下げてしまうことがとても効果的だと思います

2)意識を今に戻す

先に結果を考えてしまうと不安や緊張が高まりやすいです

ですので、考える時は結果ではなく、今、自分ができることに意識を向けてゆきます。

例えば、「寄せよう」と思うことは、結果に意識が向いていることと一緒だと思います。

そうではなくて、例えば、「スイング中は右手首の角度を変えないように振ろう」そんな風に考えてみます。

まだ起こっていない未来の結果ではなくて、今、自分が具体的にできることに意識を向けるのです。

すると、集中力が高まって、不安や恐れを手放せるようになることがあります。

3)グリップを思い切り短く持つ

アプローチのイップスですが、グリップを思い切り短く握ることで改善されることがあります。

グリップは右手の人差し指がシャフトに触れそうになる位、思い切って短く持ちます

プロでもこのようにして短くグリップする人もいますが、グリップは短く持つほどクラブをコントロールしやすくなります。

4)ヘッドを加速させて打つ

アプローチのイップスの方の中には、ダウンスイングでヘッドが減速してしまっている方もいます。

不安や恐れがあって、躊躇してしまうためです。

ただ、ヘッドの軌道はヘッドを減速させるよりも加速させた方が安定します。

ですので、グリップを短く持ったら、小さめのバックスイングにして、フォロースルーを大きくしようと思ってみてもいいかも知れません。

大きなバックスイングをとってしまうと、ダウンスイングでヘッドを減速しやすくなりますので、小さなスイングにして、ヘッドを加速させるようにしてみます

5)バウンスに注意する

サンドウェッジでアプローチショットを打ってもいいか?でもご紹介しましたが、アプローチショットの場合は、サンドウェッジについているバウンスという部分が邪魔をして、それがトップやダフリの原因になってしまうことがあります。

このバウンスは、バンカーショットの際は、クラブヘッドが必要以上に砂に潜り過ぎてしまうのを防止するために必要なのですが、芝の上から打つアプローチショットの場合、このバウンスのせいでリーディングエッジが地面から浮いてしまい・・それがトップやダフリの原因となることがあります。

※下の図の赤い部分がリーディングエッジです

ですので、グリーン周りのアプローチショットには、アプローチウェッジ(AW)かバウンス角の小さいサンドウェッジを使っていただくといいかも知れません。

6)チッパーが強力な味方になる

アプローチショットを簡単に打てるチッパーというクラブがあります。

チッパーとはこんなクラブです。

見た目はパターに近く、ロフト角がウェッジよりも立っている(少ない)ものが多いです。

チッパーの中には、ソール幅が厚いタイプ、

パターの形に近いタイプ、

などがあります。

また、チッパーの場合、ウェッジよりもライ角がアップライトにできているので(下の図参照)、よりボールに近づいて構えることができますし、感覚としてはパターのような感じで打つことができます。

打ち方ですが、パターの打ち方と一緒でいいと思います。ロングパットだと思って打っていただくといいかと思います。

チッパーとは?メリットや使い方、打ち方のポイントをわかりやすく解説!
チッパー一覧

ただ、中には、特に中級者の方や上級者の方は、こういった特別なクラブを使うことに抵抗がある方もいらっしゃるかも知れません。

その場合は、ウェッジをパターのグリップで握り、よりボールに近づいて打つという打ち方もあります。

そのように構えると、クラブのヒール側が浮きますが、それで結構です。そのように構えたら、クラブのトゥ寄りで打つようにしてみます。

ヒール側をこんな風に浮かせて構えます。

そして、トゥ寄りのこの赤い丸で囲った辺りで打ってゆきます。

この打ち方だと、パターのストロークと同じように打つことができますし、また、ヒールを浮かせて構え、トゥ寄りで打つことで、ダフリやトップが改善されることもあります。

アプローチショットは寄せなくていい!

さて、ここまでアプローチのイップスについて、その症状、原因や治し方について見てきました。

先ほども、アプローチショットは寄せなくていいと書かせていただいたのですが、それは気休めでもなんでもなくて、本当に寄せなくてもいいと僕はそう思っています。

スコアとコースマネジメントのコーナーで、特定のスコアでプレーするための戦略や必要なこと、必要ないことについて書かせていただいたことがありました。

そこでも書かせていただいたのですが、90台でプレーするために、アプローチは寄せなくても結構です。

90台でプレーするために最低限必要なスコアは、ダブルボギー9つ、ボギー9つになります。(パー72のコースだと、それで99になります)

ダブルボギーを取るには、ダブルボギーオン(パー4で4打でグリーンに乗せること)+2パットでもダブルボギーです。

4打目がアプローチショットであっても、1パット圏内に寄せる必要はないわけです。(パー4の場合。以下同じ)

ボギーを取るには、ボギーオン(パー4で3打でグリーンに乗せること)+2パットでいいわけなので、3打目がアプローチショットになっても、寄せなくても2パット圏内であればそれでいいわけです。

そんな風にアプローチは寄せなくても、90台でプレーできます。

80台でプレーするためにも、アプローチショットは寄せる必要はありません。

ボギーオン、2パットでもボギーです。全てのホールがボギーなら、パー72のコースだと90というスコアになります。どこかで1つパーを取ればいいわけなので、アプローチショットは寄せなくても大丈夫です。

70台でプレーするためにも、アプローチショットは毎回寄せる必要はありません。

シングルプレーヤーでも、グリーンを外して、アプローチショットで寄せてパーを取る確率は50%程度という調査結果もあります。

このレベルでも2回に1回寄ればそれでいいわけです。必ず寄せる必要はありません。

何が言いたいかというと、「アプローチショットは寄せなくていい」のです

もし、アプローチショットで過度に緊張しているなと思った時は、「寄せなくていい」と自分に言い聞かせてみてください。

もっとも、先ほども書かせていただきましたが、完璧を目指す方はそれが難しいとは思います。

ただ、イップスを克服するためには、少し時間をかけても、完璧を目指すことを少しづつ、手放す必要があるように思います。

アプローチショットというのは面白いもので、寄せようと思うと寄らないのに、寄らなくていいと思ってみると、案外寄ることがあったりします。

アプローチのイップスを乗り越える意味でも、アプローチは寄せるものではなくて、結果的に寄るものなんだと思ってみるのも1つの方法かなと、思います。

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