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トラブル解決編

ドライバーのイップスの症状、原因と治し方。3つの対処方法も

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前回はパターのイップスの原因や克服方法についてご紹介しました。

「イップス」とは、極度の緊張から震えや硬直を起こすことですが、一般的にはパターのイップスがよく知られています。

ただ、アマチュアゴルファーの場合は、ドライバーのイップスに苦しんでしまう方も多いです。

ゴルフ歴が長くなるほど、イップスになりやすい傾向があるという調査結果もありますが、ドライバーのイップスの場合も同様に、ある程度、ゴルフ経験のある人の方がなりやすいと言われています。

今回は、そんなドライバーのイップスについて、その症状や原因、そして、治し方について見てゆきたいと思います。

また、記事の最後では本番(コース)での対処方法についてもご紹介したいと思います。

ドライバーのイップスの症状

ドライバーのイップスの症状は2つあります。


1)身体的な症状
2)精神的な症状

1)身体的な症状

・構えてから打つまでに長い時間がかかってしまう
・スイング(バックスイング、トップ、切り返し、ダウンスイングなど)の途中で止まってしまう
・他のクラブでは打たないような大きなミスが出る

2)精神的な症状

・ドライバーを打つのが不安
・ボールが曲がるのではないか、ミスをするのではないかという恐れがある
・ドライバーを打つ時になると、過度に緊張する

この2つの症状ですが、両方とも当てはまる場合はドライバーのイップスである可能性が高いと思います。

ドライバーのイップスの原因

ドライバーのイップスの原因ですが、主に2つのことが考えられます。


1)完全欲と不安
2)ドライバーに対する固定観念

1)完全欲と不安

イップスは完璧主義者の人の方がなりやすいと言われていますが、ドライバーのイップスになってしまう方も、完璧主義の傾向があり、どこかに完全欲のようなものを持っていることが多いようです。

これはどういうことかというと、例えば、ミスが出た時、「ミスは出るものだ」と思える人は恐らくイップスにはならないと思います。

ただ、イップスに苦しんでしまう人は、そうは思えないことが多く、ミスは出してはいけないと思われていることが多いかも知れません。

だから、「ミスが出るのではないか?」という不安が自分の中にあることをひどく嫌うというか、その不安をなくしてしまいたいと思われることもあるかも知れません。

ところが、不安は、なくしてしまおうとすると大きくなるという特徴があります

これは緊張と一緒で、例えば、大勢の人前でスピーチをする際、「緊張しちゃだめだ」と思うと、余計緊張してきたりします。

あがり症の人はほぼ例外なく、「あがって(緊張して)はダメだ」と思われているのですが、そんな風に、緊張や不安というのは、なくそうとしたり、否定すると大きくなるという、特徴があります。

ドライバーの場合も、「ミスが出るのではないか?」という不安が自分の中にあることを嫌い、その不安をどうにかして捨てようとすると、その不安が反対に大きくなってしまうのです。

そんな風に、「ミスをしてはいけない」という完全欲から来る不安がドライバーのイップスの原因になっていることがあります。

2)ドライバーに対する固定観念

2つ目の原因ですが、「ドライバーに対する固定観念、もしくは、ドライバーを特別扱いしようとすること」が考えられます。

ドライバーのイップスになる人の中には、ドライバーだけ違うスイングになっていたり、ドライバーだけ特に飛ばそうとしている方もいらっしゃいます。

例えば、3番ウッドは8割程度の力でリズムよくスイングされているのに、ドライバーになると、9割以上の力で振っていたり、スイングのリズムやテンポが微妙に他のクラブとは違っていたり。

何故こんなことになってしまうかというと、それは例えば、「ドライバーは飛ばさなければならない」といったある種の固定観念があって、その思いに執着してしまっているためかも知れません。

そのため、少し後でご紹介しますが、ドライバーを飛ばさないようにしてイップスを克服してゆく人もいます。

また、ドライバーとアイアンはロフトとシャフトの長さが違うだけで、同じクラブだと思い定めてしまうことでイップスを克服する人もいます。

いずれにしても、ドライバーを特別なクラブとして考えていること、ドライバーに対する何らかの固定観念が、イップスの原因になっていることがあります。

ドライバーのイップスの治し方

さて、ここからはドライバーのイップスの治し方について見てゆきたいと思います。

ポイントは6つあります。

1)ミスをしてもいい

ドライバーのイップスの原因のところで、「ミスは出るものだ」と思える人は恐らくイップスにはならないと書かせていただきました。

ところが、イップスに苦しんでしまう人は、「ミスをしてはいけない」と考える人が多いかも知れません。

ただ、その思い(完全欲)が不安につながってゆきます。

ですので、ドライバーのイップスを克服するための最初のポイントとしては、「ミスをしてはいけない」という思いを手放そうとすること、だと思います

そのために、「ミスをしてもいい」と自分に言い聞かせてゆきます

もっとも、完璧主義の傾向のある人が「ミスをしてもいい」なんて思うことはとても難しいことかも知れません。

ただ、100%そう思えなくても、少しだけでもミスをしてもいいと思えるようになるだけでも、体の動きは全く違ってくるのではないかなと、思います。

「まぁ、ミスが出る時もあるさ」

そう思えたら、気持ちはぐっと楽になれます。

2)ドライバーの特別扱いを少しやめてみる

「ドライバーは飛ばさなければならない」という固定観念がイップスの原因にもなるということでした。

ですので、イップスを克服するためには、そのドライバーは飛ばさなければならないという思いを少し捨ててみる必要があるかも知れません。(もし、そういった思いが自分の中にある場合は)

日本人として初の(女子)世界ランキングナンバー1に輝いた宮里藍さんもドライバーのイップスになったことで知られています。

宮里藍さんは、ドライバーを飛ばさないように意識したところ、イップスを克服できたのだとか。

ドライバーのイップスを克服する上でも、同じようなこと、つまり、飛ばさないように意識してみるのも1つの方法かも知れません。

普段の飛距離、もしくは目標としている飛距離から30~50ヤード程度差し引いて、その距離よりも飛ばさないようにしてみるのも良い方法だと思います

そして、それで思うように打てるようになってから、徐々にヘッドスピードを上げてゆくようにしてゆくと、イップスから抜け出しやすいかも知れません。

3)結果よりもプロセスに気持ちを向ける

例えば、「飛ばさないといけない」「曲げてはいけない」と考えると、不安や緊張はむしろ高まったりします。

これは何故かというと、考えても、そのためにできることが何もないからです。

人は、考えても実践できないこと、つまり、自分ではコントロールできないことを考えるほど、緊張したり、不安になるようです

「飛ばそう」と思うことも「曲げないようにしよう」と思うことも、そう思うことの中に、今、できることが何一つ含まれていません。

だから、そう思うほど筋肉が緊張したり、集中できなくなって、イップスの症状が出やすくなります。

ですので、そうではなくて、何かを考える場合は、具体的に今、実践できることを考えることがポイントになります。

例えば、「6割のスイングで打とう」とか、「バックスイングをゆっくり」は具体的に実践しやすいですが、「飛ばそう」と思ってみるのはNGです。

「飛ばそう」と思っても、そのために実践できることが何一つそこに含まれていないからです。

言い換えると、結果について考えるのではなくて、プロセス(過程)に意識を向ける・・ということだと思います。

結果は多くの場合、自分ではコントロールできませんが、プロセス(過程)であれば、自分でコントロールできることが多いです。

イップスを克服するためには、プロセス(過程)に意識を向ける必要があるように思います。

4)ストレートショットではなく、あえて大きく曲げる練習をする

ストレートショットではなくて、あえて、大きく曲げるドローボールやフェードボールの練習を繰り返すことでドライバーのイップスから抜け出した・・という方もいます。

ストレートショットというのは、ミスが殆どできないショットだと思います。

だから、ストレートショットにこだわると、不安が高まったりします。

ただ、ドローボールやフェードボールはミスしてもいいショット、ある程度の許容範囲の広いショットだと思います。

多少曲がり過ぎてもいいわけです。それでもドローボールはドローボール、フェードボールはフェードボールですから。

ストレートショットはそうはいきません。少しでも曲がればストレートではなくなり、ミスショットになってしまいます。

ミスする可能性の高さは緊張感にも直結してきます。

ですので、イップスを克服するためにも、ストレートショットではなく、ドローボールやフェードボールの練習をすることがおすすめです。

そして、ストレート系のショットではなく、そういった曲がるショットを持ち球にしてみるというのも、とてもよい方法だと思います。

5)グリップの握り方を変えてもOK

これは特にゴルフ歴の長い方には抵抗があるかも知れませんが・・、グリップの握り方を変えてみるのもおすすめです。

例えば、オーバーラッピングインターロッキングにしたり、テンフィンガーグリップにしたり。

グリップを変えることで、意識がその新しい不慣れなグリップの方に向きます。

そうやって意識をグリップにそらしてしまうのも、1つの方法かなと思います。

パターの場合もそうやって、グリップを変えてイップスを克服する人もいますが、ドライバーでも使える手法だと思います。

6)クラブとプライド

クラブを自分に合ったスペックのものに買い替えることでドライバーのイップスを乗り越えてゆく方もいます。

特に男性の場合は、プライドの生き物なんて言われますが、プライドがどうしても捨てられなかったりすると思います。

以前の僕自身がまさにそうでした。

ただ、今、僕はプライドを捨てたその先に、自分にとってのゴルフの本当の楽しさがあるように思っています。

3つの対処方法

ここからは本番(コース)での対処方法について少しご紹介させていただきたいと思います。

1)ルーティンを作る

ルーティンとは、ショットを打つ前に毎回同じように行う所作のことですが、ルーティンには4つの効果があると言われています。


①同じように構えることができる
②集中力が高まる
③同じようなリズムでスイングできる
④緊張を和らげる

ドライバーのイップスで苦しんでいる方は、どうしても、結果が気になったりして、不安が高まっていたり、過度に緊張してしまうことがあるかも知れません。

そんな時は、ルーティンに意識を向けて、同じ所作を行うことに意識を向けると、自然と集中力が高まってゆくことがあります。

緊張や不安対策にもとてもおすすめです。

2)ターゲットはどこだ?

これはゴルフ専門の心理学者なども推奨する方法なのですが、緊張した時、自分に向かって「ターゲットはどこだ?」と問いかけてみるのも緊張や不安をおさえるための良い方法です。

ターゲットはどこだ?

そう自分に問いかけてみると、意識が自然とターゲット(目標)に向きます。

イップスの人は、意識が色々なところに向いてしまっているのが特徴なのですが、意識を1つの何かに向けることが、イップスの症状を抑えるためには、とても効果的だと思います。

「ターゲットはどこだ?」は、そのためのおまじないのような言葉です。

3)目標をぐっと下げておく

目標の大きさは、緊張の大きさでもあります。

例えば、ティーショットを完璧に打とう・・・なんて高い目標があると、緊張が高まりやすくなります。

ただ、例えば、ティーショットはトップ気味でいい・・という風に目標を下げてみると、気持ちが楽になれたりします。

90台80台70台とそれぞれのレベルでプレーするために必要なことの記事の中でも書かせていただきましたが、どのレベルであっても、そのスコアでプレーするために、飛ばす必要は殆どありません

大げさに言わせていただくと、ドライバーは本当にトップ気味でもいいと思うのです。

そんな風に目標をぐっと下げておくことも、イップスへのよい対処方法になると思います。

僕もドライバーのイップスだった

さて、ここまでドライバーのイップスについて色々と見てきました。

最後に、実は僕自身、ドライバーのイップスに長年苦しんだ経験があります。

そこから抜け出すきっかけになった言葉があるのですが、ある時、ある方にこんな言葉をかけられたのです。

「ドライバーもアイアンも一緒なんじゃないの?」

ドライバーもアイアンもスイングは一緒なんじゃないのか?ということだったのですが、言ってみれば当たり前のことかも知れませんし、自分でもそれは知っていたはずでした。

ただ、どこかでドライバーを特別扱いしていた、先ほど書かせていただいた、ドライバーに対する飛ばさなければならないという固定観念が自分の中にもあったのかも知れません。

記事の中で、ドライバーとアイアンは同じだと気づいてイップスを克服した人もいると書かせていただきましたが、あれは実は自分自身のことになります。

イップスの真っ只中だった当時の僕は、アメリカの地方のツアーでプレーすることを目標にしていました。そこでプレーするためには、どうしても飛ばさなくてはならないという思いがどこかにあったのかも知れません。

「ドライバーもアイアンも一緒なんじゃないの」

その言葉で、そんな自分が執着していた固定観念に気づいて、そして、それを手放そうと思ったのです。

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