同じようなヘッドスピードでも250ヤード飛ばす女子プロとアマの差
男子のアマチュアと女子プロのヘッドスピードを比較すると、そんなに差がない・・という調査結果もあります。
むしろ、男子のアマチュアの方がヘッドスピードが速いという結果もあります。
ところが、飛距離を見ると、女子プロのほうが断然飛んでいることが多いです。
今回はそんな男子のアマチュアと女子プロの飛距離の差とその理由について見てゆきたいと思います。
目次
女子プロと男子アマチュアのデータを比較しよう
さて、まず、(日本の)女子プロと男子アマチュアのデータを比較して、そこにどんな違いがあるのかを見てゆきたいと思います。
冒頭でも書かせていただきましたが、男子のアマチュアと女子プロのヘッドスピードの平均値というのは似ていて、ある調査では女子プロのヘッドスピードの平均値が42.9m/sだったのに対して一般男性のアマチュアの平均ヘッドスピードは45m/sでした。
この調査だけを見ると男子のアマチュアの方がヘッドスピードは速いわけです。
しかし、飛距離を見ると、女子プロは250ヤード※も飛ばせるのに対して、一般的な男子のアマチュアでは250ヤードというのはあまり現実的な数値ではないと思います。
※ここでいう250ヤードとはトータル(キャリー+ラン)の飛距離です。キャリーとランの違い
本当は、ヘッドスピードだけを見れば男子アマチュアの方が速いのですから、250ヤード飛ばせてもいいようなものですが、250ヤード飛ばせる男子アマチュアは少ないのが現実ではないでしょうか。
でも何故でしょう?
下記は、女子プロと男子アマチュアのヘッドスピードや飛距離など細かいデータを比較したものです。(参照/出典:Golf Today 丸ごと一冊!飛距離アップ大作戦 完全保存版)
ヘッド |
ボール 初速 |
打ち出し角 | スピン (毎分) |
キャリー | トータル 飛距離 |
|
女子プロ | 42.9 m/s | 62 m/s | 14度 | 2500 | 234.5y | 250.5y |
男子 アマチュア |
45 m/s | 60.75 m/s | 12度 | 4000 | 218.1y | 229.7y |
※このデータをブログなどで紹介していただく場合はこのページにリンクを張ってください。
トータルの飛距離を見ると女子プロは250ヤード飛ばしているのに対して、男子アマチュアは20ヤードも差をつけられています。
女子プロの数値とトラックマン社のデータを比較してみると・・
ちなみに、ゴルフ用弾道計測器の開発を手掛けるトラックマン社が発表している250ヤード飛ばすために理想的なヘッドスピード、ボール初速等のデータがありますので、上記の女子プロのデータと照らし合わせてみたいと思います。
するとこんな感じになります。
ヘッド |
ボール 初速 |
打ち出し角 | スピン (毎分) |
キャリー | トータル 飛距離 |
|
女子プロ | 42.9 m/s | 62 m/s | 14度 | 2500 | 234.5y | 250.5y |
トラックマン | 41.75 m/s | 62.63 m/s | 14.7度 | 2300 | 228 y | 255 y |
参考:トラックマン社 "PERFORMANCE OF THE AVERAGE MALE AMATEUR GOLFER"
これを見ていただくとわかりますが、女子プロはほぼ理想的な形で250ヤード打っていることがわかります。
女子プロと男子アマの3つの違い
さて、先ほどの女子プロと男子アマのデータに戻りますが・・
このデータの中の、
1)バックスピン量
2)打ち出し角
3)ボール初速
について少し詳しく見てゆきたいと思います。
1)バックスピン量
明らかな違いはバックスピンの量です。
女子プロは2500回転(毎分)と理想的なのに対して、男子アマチュアは4000回転(毎分)・・・これではボールが吹け上がってしまい、飛びません。
これだけバックスピン量が多いのは、フェースがインパクトで開いていること、また、インパクトでヘッドが上から入っていることが関係していると思います。
2)打ち出し角
次に打ち出し角ですが、女子プロは14度であるのに対して、男子アマチュアは12度・・・これはどういうことかと言うと、女子プロはボールを横から払うように打っているか、もしくは若干アッパーブローで打っている・・・ということになります。
男子アマチュアの12度という数値は、先ほどのバックスピンが多い理由と同じですが、インパクト前のヘッドの入射角が緩やかではなくて、大袈裟にいうと上から振り下ろすような打ち方になっている証拠です。
その打ち方がまたバックスピン量を増やしています。
ヘッドの入射角についてですが、
(上記でご紹介した調査とは別に)以前、女子プロのドライバーのスイング、特にヘッドの軌道を分析する調査が行われたことがありました。
その結果、女子プロの場合は、実際にドライバーヘッドを低い位置からインパクトゾーンに入れている・・ということがわかっています。
一方で、男子アマチュアの分析も行われていたのですが、男子アマチュアの場合は、ヘッドが女子プロに比べると、高い位置からヘッドを入れている・・という結果になっています。
3)ボール初速
ボールの初速ですが、男子アマチュアはヘッドスピードが速いのに、ボール初速では女子プロに負けています。
これは簡単に言うと、芯を外しているということになろうかと思います。
ボールを芯でとらえている女子プロと、芯を外している男子のアマチュアの違いですが、勿論、技術的な問題もあるかも知れませんが、フェースがインパクトで開いたり、閉じたりしていると、芯を外れることが多くなります。
例えば、インパクトでフェースが開くと、ボールはフェースのヒール寄りに当たりやすくなります。
反対にインパクトでフェースが閉じると、ボールはフェースのトゥ寄りに当たりやすくなります。
米国の女子プロのデータを見てみる
先ほどは日本の女子プロと日本の男子アマチュアを比較したデータをご紹介しました。
今度は、アメリカの女子プロについて見てみたいと思います。
横田真一プロがご自身の著書、「プロゴルファーがやっているスコア作りのコツ!」の中で米国の女子プロと日本の男子アマチュアが同じようなヘッドスピードである点に注目されていました。
その中でデータを紹介されているのですが、米国の女子プロのヘッドスピードは平均で41.4m/s、日本の男子アマチュアはおおよそ40m/s。
男子アマチュアのヘッドスピードが、冒頭のデータとは多少異なりますが、女子プロと男子アマが同じようなヘッドスピードであると指摘されていて、米国の女子プロはやはり250ヤード飛ばせるのだそうです。
同じようなヘッドスピードなのに、日本の男子アマは250ヤード飛ばせる人は殆どいないと。
じゃあ、(ヘッドスピードが大して変わらないのに)何が違うのかということになりますが、その違いを横田プロはドライバーショットの解析データから分析されていて、米国の女子プロのデータを見ると・・・
ドライバーのロフト・・・10度が主流
ドライバーの入射角・・・およそ3度のアッパーブロー
打ち出し角度・・・13.2度
・・・なのだそうです。
冒頭でご紹介した男子アマチュアのデータだと、打ち出し角度が12度でした。
米国の女子プロは10度という少ないロフト角のドライバーをほんのわずかにアッパーブローに打つことで13度という高い打ち出し角を実現しつつ、(ややアッパーで打つことで)低スピンでドライバーを打っている・・・ということだと思います。
アッパーブローで打っていると書きましたが、3度のアッパーブローですので、ほぼ横から払い打っているような形になります。
勿論、お使いのドライバーや持ち球などによっても変わってきますが、ヘッドスピードが女子プロ並みにある方の場合は、ロフト角10度、3度のアッパーブローで打ち出し角度13度ちょっと・・・というのは一つの目安になるかも知れません。
何を修正してゆけばいいのか?
さて、男子アマチュアの飛距離ロスを修正するポイントですが、
・ヘッドの入射角
・インパクトでのフェースの向き
・・・の2つになると思いますが、そんなに簡単なお話ではなくて、グリップですとか、アドレスの姿勢、ボールの位置・・・など色々なことが関係してきます。
フェースが開く・・・ということに関してはスライスの直し方編で詳しくご紹介しておりますので、そちらを参照していただければ幸いです。
スライスの8つの原因を1つ1つ見直してゆくことでインパクトでのフェースの向きも改善してくるのではないかと思います。
ヘッドの入射角ですが、これはスライスをしないように、もしくはフェースを開いてしまわないように上からボールを抑え込もうとした結果、そのような形(上から振り下ろすような形)になっているのかも・・・知れません。
その場合、いきなり、若干アッパーブローで打ってください・・・などとお伝えすると、ひどいプッシュアウトスライスになってしまうことがあります。
ですので、まずはフェースの向きを修正しながら、ボールを真横から払い打つような打ち方を身につけてゆくのが良いのではないかなと思います。
その際の練習ですが、ドライバーを使わずに、7番アイアンなどのミドルアイアンでボールを練習場のティーの一番高いところにセットして打ってみます。
その場合、ボールを上から見るのではなくて、ボールの横、フェースがボールに当たる位置を見て構え、そして、打ってみます。
ボールをこんな風に上から打ち込むのではなく・・・
ボールの真横を見ながら、横から払い打つようなイメージです。
これは特にドライバーの方向性が乱れてきた時や、軽いドローボールを打とうとして、プッシュアウトスライスが出るようになった時などは効果的な練習だと思っています。
コツは6割程度の力でスイングし、ヘッドスピードを上げようとするよりも、フェースの真っ芯でボールをとらえることに集中することだと思います。
実際にやってみると面白いですが、マン振りするよりも6割の力で芯で打とうと思った方が飛んでいたり、あまり距離が変わらなかったりすることもあります。
その感覚を体で覚えると、普段から、または、コースでもあまりヘッドスピードを意識しなくなるのかも、知れません。
女子プロは低い位置からヘッドを入れている
さて、次にドライバーを打つ際にどんなことを意識したらいいか?ということについて、少しご紹介したいと思います。
先ほど、女子プロは低い位置からヘッドを入れているということについて、書かせていただきました。
じゃあ、どの程度、また、インパクトのどの程度前からヘッドを低くいれたらいいか?
・・ということですが、150センチちょっとで250ヤード飛ばすある女子プロが、ドライバーショットではボールの手前50センチくらいからヘッドを低く入れるようにしていると、あるインタビューの中で語っていました。
低い位置からヘッドを入れてゆくことで、「ボールを押す時間」が長くなり、それだけ飛距離が稼げるのだと。
この50センチ手前からヘッドを低く入れてゆく・・というのは良いイメージかも知れません。
また、インパクトの前だけを意識してもうまくいかない・・という場合は、ボールの前後(インパクトの前後)20センチは地面と平行に振るような意識でもいいかも知れません。
インパクト前ではなく、インパクトの後を意識した方がヘッドの軌道がうまく修正できるケースもありますので。
もう一つ、以前にも少しご紹介したことがありましたが、ヘッドを低い位置から入れるためのよいイメージがあります。
あくまでもイメージですが、ボールに真横から釘が刺さっているとイメージしてみます。
ちょっと異様な感じがしますが・・こんなイメージです↓
そして、ドライバーを打つ際は、その釘を真っ直ぐにボールを打ち込む意識で打ってみます。
このような意識だと、ヘッドを上から入れるのではなく、真横からヘッドを入れてゆくようになると思います。
ただ、先ほども書かせていただきましたが、スライスをしないように、もしくはフェースを開いてしまわないように上からボールを抑え込もうとした結果、上から振り下ろすような形になっている方もいらっしゃいます。
この場合は、ヘッドの軌道だけではなくて、フェースが開いてしまうという問題も同時に直してゆく必要があるかと思います。
フェースが開いてしまうという問題についてはスライスの直し方編を参照ください。
▼スコアが劇的に変わった人が実践したゴルフ理論とは
↑僕も実践してみました。その上達法やゴルフ理論の感想について書いてみました。一度ご覧になってみてください。