ゴルフスイングでの肩と腰の回転の基本的な考え方のまとめ
これまで肩と腰の回転については【ゴルフスイングと捻転差】腰の回転と捻転差の誤解とは?や「腰を回さない」は正しいゴルフ理論か?【バックスイングで腰を回さないことで起こること】などで色々とご紹介してきました。
今回はそんなことも含め、肩や腰の回転の基本的な考え方や、肩と腰のより自然な使い方について少しまとめてゆきたいと思います。
目安は、肩を90度、腰を45度
バックスイングでは、体(肩や腰)を右に回転させてゆくわけですが(左利きの方の場合は左に回転させてゆくわけですが)、その際、人の体の構造上、肩の方が腰よりも回転します。
ではどの程度回転させるのがいいかというと、目安は、肩を90度、腰を45度回転させること、になります。
ただ、これは絶対ではありません。
体が柔らかい方は、肩も腰もそれよりも回転させても結構ですし、体が硬い方は無理をして、肩を90度回転させなくても結構です。
ただ、肩の回転は飛距離に関係していて、肩の回転が浅くなると、飛距離も落ちてしまいます。
その場合ですが、体が硬い方でも、無理なく肩を90度、またはその近くまで回転するコツや方法があります。
その方法については少し後でご紹介したいと思います。
体が柔らかい方の場合ですが、人よりも回転できることで、自分はオーバースイングをしているのではないかと思われる方もいらっしゃいます。
ただ、「オーバースイング」の原因と直し方。5つの見分け方と矯正方法でもご紹介しましたが、オーバースイングの場合でも、直す必要のあるものとないものがあります。
詳しくは上記の記事でご紹介していますので、今回は省略したいと思いますが、肩が90度以上回転しても、それは直す必要は基本的にはないと思います。
ただ、もし、回転はしているけど、体重移動が伴っていないような場合などは、どこか修正すべき点があるかも知れません。
肩を回転させる際のポイント
さて、90度を目安に肩を回転させてゆくわけですが、この時、いくつかポイント、またはコツがあります。
その中の1つですが、左肩をあごの下に入れてゆく意識で肩(体)を回転させてゆきます。
そのような形ですと、肩が自然と90度、回転しやすくなると思います。
ただ、この際、猫背などが原因で、あごがアドレスで下がっていると、あごの下に左肩が入らず、結果的に肩の回転が浅くなってしまうことがあります。
猫背で構えるとどうしてもあごが下がりやすくなりますので、猫背にならないように構えることが大切なポイントになってきます。
猫背にならないように構えるためには、前傾の仕方が大事になってきます。
猫背の方の多くは、腰やまたは背中から前傾しようとしていることが多いです。
スライスの原因とアドレスの姿勢。猫背や右肩の位置も(このページの下部の関連ページの覧に記事内でご紹介したページをまとめておきます)
猫背を直すためには、腰や背中から前傾するのではなく、両足の付け根から前傾するようにすると、背中が丸まらなくて済みます。
ただ、これは以前にも書かせていただきましたが、シニアの方など、どうしても背中が丸まってしまう方は、無理に伸ばさなくても結構です。
ただし、この場合も両足の付け根から前傾するように意識していただくといいかと思います。
また、あごはどの程度上げて構えたらいいのか?
ということですが、まず、真っすぐに立ってみます。背筋をすっと伸ばします。(背骨の自然はS字カーブを保った形で立ちます)
下の右端の図のように背中を無理に反らすと背骨の自然なカーブが崩れてしまいますので、左端のように無理のない形で背筋を伸ばす形がベストです。
この立った際のあごの位置を保ったまま、両足の付け根から前傾していただくと、適度にあごが上がった状態になると思います。
この状態で構えると、ボールをやや下目遣いで見る形になると思います。
アドレスでボールを見る際、顔をボールに向けるような感じで見てしまうと、あごが下がってしまったり、背中が丸まったりしますので、注意してみてください。
これについて詳しくは、アドレスの前傾姿勢と前傾の角度。あごの位置と猫背についてもでご紹介しています。
肩を回転させてゆく際のポイントですが、もう1つは、背中をターゲット(目標)に向ける意識で回転するのもいいかも知れません。
これは僕(筆者)が子供の頃に父親から教えてもらったことで、今でも時々背中をターゲットに向ける意識で練習することがあります。
腰を回転させる際のポイント
さて、次は、腰を45度、回転させてゆく際のポイントですが、1つはお尻の右のポケットを後ろに引くような意識で回転させる・・ということになります。
トッププロの中でも飛ばしたい時にそうやって、右のお尻のポケットを意識する人もいますが、そのような意識だとより体を深く回転させることができるかと思います。
また、もう1つのポイントですが、腰を地面と水平に回転させるような意識でもいいかも知れません。
一番やってはいけない腰の使い方は、スライドさせること・・・になります。
回転させるのではなく、右にスライドさせてしまっているケースもありますが、これをやると飛距離をかなり失うことになります。
ですので、腰は回転させること、その際は水平に回転させるような意識でもいいかも知れません。
肩と腰の捻転差は意識しなくていい
これは【ゴルフスイングと捻転差】腰の回転と捻転差の誤解とは?でもご紹介しましたが、ゴルフではよく、腰の回転を抑制した方が、肩と腰の捻転差ができて、飛距離が伸びる・・・といったことが言われることがあります。
ただ、僕(筆者)自身はそのようには考えていません。
上記の記事で詳しく書かせていただいているので今回は詳しいことは省略しますが、実際は腰の回転を抑制しない方が飛ぶと考えています。
また、肩と腰の捻転差というのは、作るものというより、自然とできるものだと考えています。
例えば、真っすぐに立ってみます。両足は軽く開きます。
この状態で両足の位置を変えずに、体を右に回転させてみてください。
体を右に回転させた位置で肩と腰がどれだけ回転しているかを確認してみます。
すると、肩の方が腰よりも回転しているのがわかると思います。肩が90度回っていたら、腰は45度程度は回っているでしょうか。
肩を90度、腰を45度回すのが基本とゴルフでは言われますが、こうやってただ回転しただけで、自然と捻転差はできるものだと思いますし、それ以上の捻転差を(意識して、または腰の回転を抑制して)作る必要は僕はないと思っています。
また、先ほどの真っすぐ立って右に回転する実験ですが、今度は腰をできるだけ右に回転しないように意識して、体を右に回転させてみてください。
するとどうでしょう・・・?
肩の回転が浅くなったと思います。
腰の回転を抑制しようとすると、このように肩の回転まで抑制されてしまいますので、腰の自然な動きを意識して抑制する必要はないと思います。
肩の回転が浅いと感じた時にできる5つのこと
さて、冒頭でも書かせていただきましたが、体が硬い方の場合など、肩をうまく回転させることができない、肩の回転が浅いと感じることがあるかも知れません。
その場合ですが、肩をより深く回転させるためのコツがありますのでご紹介したいと思います。
1)腰を回転させること
1つ目は先ほども書かせていただいた通り、腰を回転させる意識にしてみることです。
すると、肩の回転も深くなりやすいです。
2)ヒールアップ
バックスイングでヒールアップ※することもおすすめです。
※バックスイングの際、左足のかかとを地面から少し浮かせること
特にシニアの方や体が硬い方の場合は、ヒールアップすることで、体をより深く回転させることができるようになり、飛距離が伸びることがあります。
ヒールアップについては、左足を浮かすヒールアップとベタ足はどっちがいいか?【比較します】でご紹介しています。
3)クローズスタンスで構える
肩をより深く回転させるもう1つのコツは、クローズスタンスで構えることです。
クローズスタンスで構える方法ですが、いつも通りスクエア※に構えたら、右足だけを少し後ろに引きます。
どの程度、右足を後ろに引くか・・・というのは決まりはありませんが、最初は5センチ程度後ろに引いてみてもいいかも知れません。
右足を後ろに引く際ですが、右肩まで後ろに引いてしまう方もいらっしゃいますが、これだと、体全体が右を向いてしまいますので、そうならないようにしてください。
右足だけを後ろに引く形です。
右足を後ろに引いたら、後はボールと体の距離を微調整します。
クローズスタンスの構え方については下記で詳しくご紹介しています。
【クローズスタンスとは?】構え方、メリット・デメリットについて
4)胸を右に向ける意識で
肩をより深く回転させるために、肩ではなく、胸の向きを意識するのもよい方法です。
バックスイングで右に回転する際に、胸を右に向ける意識にしてみます。
その方がより深く回転できるという方もいますので。
または、先ほどもご紹介したバックスイングで背中を右に向ける意識でもいいかも知れません。
5)左ひざも回転させるイメージで
バックスイングで回転する際ですが、左ひざも右に回すような意識にしてみると、より深く回転できるケースもあります。
左ひざを右に回す・・というのは少しわかりにくい表現かも知れませんが、左ひざに人の顔をしたシールが貼ってあるとイメージして・・
その顔のシールがバックスイングで右を向いてゆくような、あくまでもイメージですが、そんな意識でもいいかも知れません。
腰をうまく回せない時にできる4つのこと
今度は腰をうまく回せない時にできることです。
1)おへそを右に向けるイメージで
腰を回す・・・がうまくいかない時は、おへそを右に向ける意識でもいいかも知れません。
2)右足のつま先をいつもよりもう少し外側に開く
腰をうまく回せない時のもう1つのポイントですが、右足のつま先をいつもよりも少し外側に開いてあげてもいいかも知れません。
また、これは以前はよく(基本だと)言われていたことですが、右足のつま先をターゲットラインに対して直角にする「ホーガン・スタンス」と呼ばれる、構え方があります。
このスタンス、構え方は飛距離をコントロールしたいプロには向いていても、飛距離が必要な方や体が硬い方にはおすすめしません。
右足(左足も)のつま先は外側に開くようにしてください。
どの程度、外側に開いたらいいか・・・というのは個人差がありますが、20~30度程度を目安にしてみてもいいかも知れません。
そこから自分なりに調節してゆくといいかと思います。
スタンスと左足、右足のつま先の向き【つま先はどの位開くのがいい?】
3)腰を水平に回すイメージで
これも先ほど書かせていただきましたが、腰を地面と水平に回すイメージでもいいと思います。
また、腰がうまく回せないのは、スライドさせていることが原因ということもあります。その場合は、スライドさせるのではなく、回転する意識でスイングすることが大切です。
4)スライドさせてしまっている場合
腰を右にスライドさせてしまっている場合ですが、まずは、回転する意識を持つということ。
もう1つは、右ひざで体重を受け止める意識、または、右の股関節で体重を受け止める意識で回転するのも良い方法かも知れません。
または右の股関節を中心に回る意識でもいいかと思います。
▼スコアが劇的に変わった人が実践したゴルフ理論とは
↑僕も実践してみました。その上達法やゴルフ理論の感想について書いてみました。一度ご覧になってみてください。
- 【ゴルフスイングと捻転差】腰の回転と捻転差の誤解とは?
- 「腰を回さない」は正しいゴルフ理論か?【バックスイングで腰を回さないことで起こること】
- 「オーバースイング」の原因と直し方。5つの見分け方と矯正方法
- スライスの原因とアドレスの姿勢。猫背や右肩の位置も
- 大きなスイングを作る方法。小さいスイングを改善する5つの方法
- アドレスの前傾姿勢と前傾の角度。あごの位置と猫背についても
- 左足を浮かすヒールアップとベタ足はどっちがいいか?【比較します】
- 【クローズスタンスとは?】構え方、メリット・デメリットについて
- スタンスと左足、右足のつま先の向き【つま先はどの位開くのがいい?】
- ゴルフスイングの軸について。軸は何本?どうやって作ったらいいか?
- 肩を回す5つのコツ。肩が回らない人は○○が間違っている
- バックスイングが小さい、浅い場合の5つの改善方法【ゴルフスイングを大きくするには?】